レポート
2026.10.07

パシフィックフィルハーモニア東京が新体制&2027年度ラインナップを発表

左から、飯森範親音楽監督、日野洋一会長、吹浦忠正理事長、大谷康子芸術顧問、伊藤裕太特別顧問
©amigraphy

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パシフィックフィルハーモニア東京は、10月1日、新体制の発足および2027年度ラインナップを発表した。記者発表会には日野洋一会長をはじめ、飯森範親音楽監督、新たに芸術顧問に就任したヴァイオリニストの大谷康子、特別顧問に就任した伊藤裕太が登壇した。

新体制とオーケストラの使命

日野会長は、まず冒頭に、「パシフィックフィルハーモニア東京」と改称し新生オーケストラとしてスタートした2022年からの6年間を振り返り、「現代のクラシック音楽のパトロンは、チケットを購入し実際に足を運んでくださるお客様」と強調。さらに一歩踏み込み、企業や地域、社会全体(ステークホルダー)との関係性の中で音楽を提示する必要性を訴えた。

今回発表された新体制では、パシフィックフィルハーモニア東京が、伝統を守りつつも、音楽が届いていない層へ届ける「革新性」を打ち出し、組織としての楽団の盤石化を目指す。

新体制

日野洋一 会長
飯森範親 音楽監督
大谷康子 芸術顧問 [新]
伊藤裕太 特別顧問 [新]

2027/2028シーズンは、ベートーヴェンとともに生きる

2027年はベートーヴェン没後200年の節目の年にあたる。パシフィックフィルハーモニア東京は、年間を通じて全定期演奏会のプログラムをベートーヴェン作品で構成することを決定した。

飯森 パシフィックフィルハーモニア東京は‟伝統と革新”を理念に掲げており、私自身、「伝統の上に革新が存在する」と常に思ってきました。そこで、ベートーヴェン没後200年の2027年度は、プログラムをすべてベートーヴェンで極めることにしました。

演奏機会が決して多くない《命名祝日》といった作品まで網羅し、意義深いシーズンになると考えています。また、客演指揮者やソリストの方々がそれぞれの解釈やエッセンスを持ち込むことで、オーケストラの引き出しを増やし、良い影響をもたらすことを期待しています。新しいパシフィックフィルハーモニア東京としての想いを込め、ベートーヴェンを再発見していきたい。

飯森範親音楽監督
2027年、ベートーヴェンとともに生きる。(飯森音楽監督)

没後200年。それでもベートーヴェンは過去にならない。

なぜ、その音楽は今もなお、私たちの心を揺さぶり、身体を震わせるのか。

2027年、パシフィックフィルハーモニア東京は、一年をかけてベートーヴェンと向き合います。

春も、夏も、秋も、冬も。

その楽譜に刻まれた意志、葛藤、歓喜、そして途方もないエネルギーを、オーケストラの全身で解き放つ。

200年後のいま、ベートーヴェンを「生きた音楽」として分かち合いたい。

聴くのではなく、浴びる。

知るのではなく、出会い直す。

2027年、ベートーヴェンとともに生きる。

 

(パシフィックフィルハーモニア東京 公式サイトより)

芸術顧問に新たに就任した大谷康子は、1981年から13年、東京シティ・フィル首席コンサートマスターを務めたあと、1995年から21年間、東京交響楽団ソロコンサートマスターを務めた。

大谷 楽団員の方々の熱意に触れ、心から応援したいと思い芸術顧問をお引き受けいたしました。私自身、34年間にわたりオーケストラで活動し、学んだことが現在の音楽人生の礎となっています。楽団員みんなが『オーケストラで活動できて幸せだ』と感じられるよう、サポートしていきたいです。

クラシック音楽の素晴らしい伝統を演奏し伝えることは大切ですが、ただ伝統を守るだけではいけません。伝統を踏まえた上で革新していくことが重要です。

大谷康子 芸術顧問(中央)
東京芸術大学、同大学院博士課程修了。在学中よりソロ活動を始め、ウィーン、ローマ、ケルン、ベルリンなどでのリサイタル、トロント音楽祭、ザルツブルグ市などにも招待され好評を得る。また、1981年より13年間東京シティ・フィル首席コンサートマスターを、その後、1995年より21年間、東京交響楽団でソロコンサートマスターを務め、名誉コンサートマスターの称号を授与された。ソリストとしても、これまで、数々のリサイタルでの演奏はもとより、パシフィックフィルハーモニア東京、NHK交響楽団、東京都響、読響、東響、東フィル、新日フィル、日フィル、東京シティフィル、神奈川フィル、モスクワ・フィル、スロヴァキアフィル、シュトゥットガルト室内楽団、キーウ(キエフ)国立フィルなど国内外の著名なオーケストラと共演を重ねてきた。また、1公演で4曲のヴァイオリンコンチェルトを1日2公演行うという前代未聞の快挙を達成し話題となった。文化庁「芸術祭大賞」受賞。川崎市市民文化大使。高知県観光特使。(公財)日本交響楽振興財団理事。(公社)日本演奏連盟常任理事。また、今年6月末まで10年間、(公財)練馬区文化振興協会理事長を務めた。東京音楽大学教授を経て現在は客員教授。元東京芸術大学客員教授。元東京芸大ジュニア・アカデミー特別教授。

伊藤裕太 特別顧問(右)
早稲田大学政治経済学部卒業。GE、ポラロイド、日本ビクターなどの大手外資系・IT企業などの経営幹部・代表取締役を歴任した後、音楽プロデューサー・企画構成作家としても幅広く活動を展開。会社員・経営者としての仕事と並行して早稲田大学理工学術院で33年間、教鞭を執った。また、公益財団法人日本音楽教育文化振興会理事を務めるなど教育や文化振興に携わってきた。BSテレ東の音楽番組「おんがく交差点」では放送開始当初から企画構成を、練馬区の「真夏の音楽会」、「ねりまの森の音楽祭」ではプロデューサーを務めるなど、音楽の魅力を多角的な視点からアプローチする独自のテーマ展開で高い評価を得てきた。

こども音楽食堂

会見では、プロの演奏を子どもたちに届ける社会貢献プロジェクト「こども音楽食堂」について説明があった。このプロジェクトでは、既存のこども食堂や施設に無償で演奏家を派遣し、食と音楽をセットで届ける取り組みや、定期演奏会への招待などが順次展開されている。

大谷は、「こども音楽食堂の取り組みを聞いて胸がいっぱいになりました。幼い頃から音楽を聴いて育つことで感情や思いやりの心が豊かになり、社会が変わると信じています。経済的事情などで音楽に触れられない子どもたちへ本物の演奏を届けるとともに、将来のクラシック音楽界を支えるファンを育てていくためにも、この活動に全力で取り組んでまいります」と意欲を示した。続いて、日野会長は「オーケストラが持つ『異なる個性が響き合い調和する力』を子どもたちに伝えることで、心の安定と思いやりのある社会の形成に貢献したい」と述べた。

特別顧問に就任した伊藤裕太は、「経営基盤を安定させ、アーティストが安心して音楽に専念できる環境づくりを支えたい」と、就任の抱負を述べた。

2027-2028シーズン年間プログラム

会場:東京芸術劇場 コンサートホール(全日程)

第188回定期演奏会
2027年5月29日(土)
指揮: 飯森範親
ピアノ: 黒木雪音
ベートーヴェン/序曲《命名祝日》
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第5番《皇帝》
ベートーヴェン/交響曲第3番《英雄》

 

第189回定期演奏会
2027年7月31日(土)
指揮: 飯森範親
ピアノ: 萩原麻未
ベートーヴェン/レオノーレ序曲第2番
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第2番
ベートーヴェン/劇付随⾳楽《アテネの廃墟》序曲
ベートーヴェン/交響曲第5番《運命》

 

第190回定期演奏会
2027年8月29日(日)
指揮: 大友直人
ヴァイオリン: 橘和美優
ベートーヴェン/レオノーレ序曲第3番
ベートーヴェン/ロマンス第1番、第2番
ベートーヴェン/歌劇《フィデリオ》序曲
ベートーヴェン/交響曲第4番

 

第191回定期演奏会
2027年10月24日(日)
指揮: 飯森範親
ピアノ: 田部京子

ベートーヴェン/交響曲第8番
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第4番
ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第3番

 

第192回定期演奏会
2027年11月27日(土)
指揮: 大井駿

ベートーヴェン/献堂式序曲
ベートーヴェン/交響曲第1番
ベートーヴェン/《シュテファン王》序曲
ベートーヴェン/交響曲第7番

 

第193回定期演奏会
2027年12月11日(土)
指揮: 飯森範親
ピアノ: 佐藤卓史
ソリスト: S富永果捺子 A鳥谷尚子 T笛田博昭 B木村善明

ベートーヴェン/合唱幻想曲
ベートーヴェン/交響曲第9番「合唱付き」

 

第194回定期演奏会
2028年1月22日(土)
指揮: ミコラ・ジャジューラ
ヴァイオリン: 大谷康子

ベートーヴェン/エグモント序曲
ベートーヴェン/交響曲第2番
ベートーヴェン/ヴァイオリン協奏曲

 

第195回定期演奏会
2028年2月23日(水・祝)
指揮: 鈴木優人
ピアノ: 川口成彦

ベートーヴェン/ピアノ協奏曲第1番
ベートーヴェン/プロメテウスの創造物
ベートーヴェン/交響曲第6番《田園》

 

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