プレイリスト
2020.08.02
おはようバッハ—教会暦で聴く今日の1曲—第4回

「満ち足りたやすらぎ、うれしい魂の喜びよ」——三位一体後第8主日

音楽の父ヨハン・ゼバスティアン・バッハが生涯に約200曲残したカンタータ。教会の礼拝で、特定の日を祝うために作曲されました。
「おはようバッハ—教会暦で聴く今日の1曲—」では、キリスト教会暦で掲載日に初演された作品を、その日がもつ意味や曲のもととなった聖書の聖句とあわせて那須田務さんが紹介します。

那須田務
那須田務 音楽評論家 

ドイツ・ケルン音楽大学を経てケルン大学で音楽学科修士修了(M.A)。専門はピアノやオーケストラ等クラシック全般だが、とくにバッハを始めとするバロック音楽、古楽演奏。音...

19世紀作者不詳、イソップ寓話のイラスト「羊の皮を被った狼について議論する2人の羊飼い」。この「羊の皮を被った狼」という慣用句は「マタイによる福音書」第7章15から取られている。

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今日、2020年7月26日はキリスト教暦の三位一体節後第8主日(日曜日)」。

今日はバッハがライプツィヒのトーマス・カントル(音楽監督)に就任した1723年の三位一体後第8主日に、教会の礼拝で演奏されたカンタータ「神よ、私を探り私の心を試してください」BWV136を聴きましょう。

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この日に礼拝で朗読した箇所は「マタイによる福音書」第7章15~23。イエスが山上の上で行なった説教のひとつ。にせ預言者を警戒しなさい。羊の皮を身にまとっているけれども、実際には強欲な狼。それを見分ける方法は、木に喩えて言えば、よい実をつけているか否か。天の国には天の父の御心を行なう者だけが入る。

07:15偽預言者を警戒しなさい。彼らは羊の皮を身にまとってあなたがたのところに来るが、その内側は貪欲な狼である。 07:16あなたがたは、その実で彼らを見分ける。茨からぶどうが、あざみからいちじくが採れるだろうか。 07:17すべて良い木は良い実を結び、悪い木は悪い実を結ぶ。 07:18良い木が悪い実を結ぶことはなく、また、悪い木が良い実を結ぶこともできない。 07:19良い実を結ばない木はみな、切り倒されて火に投げ込まれる。 07:20このように、あなたがたはその実で彼らを見分ける。 07:21わたしに向かって、『主よ、主よ』と言う者が皆、天の国に入るわけではない。わたしの天の父の御心を行う者だけが入るのである。 07:22かの日には、大勢の者がわたしに、『主よ、主よ、わたしたちは御名によって預言し、御名によって悪霊を追い出し、御名によって奇跡をいろいろ行ったではありませんか』と言うであろう。 07:23そのとき、わたしはきっぱりとこう言おう。『あなたたちのことは全然知らない。不法を働く者ども、わたしから離れ去れ。』

新共同訳聖書より「マタイによる福音書」第7章15~23

編成はアルト、テノール、バスの独唱に、ホルンやオーボエ、オーボエ・ダモーレ、弦楽と通奏低音。バッハが選んだ作者不詳の歌詞は、朗読の箇所や、その主題を示唆する旧約聖書の「詩篇」や「創世記」の聖句が用いられています。

カンタータのタイトルの言葉をテキストにした冒頭の合唱は、神の御前に歩む人の決意と神への信頼を表しているようです。続いてテノールが、「このような呪いに満ちたところでは誰がよい実りが望めようか、今や魂は罪のいばら、狼は羊毛を身にまとう、でもその日は突然来る」(第2曲)と述べると、アルトがオーボエ・ダモーレとともに、神の裁きを前にした者の不安な気持ちを歌います(第3曲)。そこでバスが「信仰によってイエスと一つになった者には過酷な判決は下されない」(第4曲)と言います。そして、「罪の汚れはアダムの堕落によってもたらされたもの、イエスの御傷への道を知った者にはかつての清らかさが与えられる」と力強く歌うバスとテノールの二重唱(第5曲)を経て、「あなたの高貴な血のひとしずくが、全世界を清らかにし、悪魔から解放してくれる」という歌詞の安らぎに満ちたコラールで結ばれます。

那須田務
那須田務 音楽評論家 

ドイツ・ケルン音楽大学を経てケルン大学で音楽学科修士修了(M.A)。専門はピアノやオーケストラ等クラシック全般だが、とくにバッハを始めとするバロック音楽、古楽演奏。音...

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