「ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調」——全楽章をつなげて演奏する幻想風ソナタ
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
全楽章をつなげて演奏する幻想風ソナタ「ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調」
本日のOp27-1は、先日ご紹介した「ピアノ・ソナタ第12番 Op26」から引き続き、実験的な表現で作曲された作品。出版の際につけられた正式名称は「幻想風ソナタ」です。
作品27-1は「変ホ長調」で4楽章構成をとり、全体に緩・急・緩のコントラストを志向しているが、第1楽章の内部構造も緩・急・緩の三部分で、さらに両端のアンダンテ部も小さな三部構成をとっている。全体に自由な即興性も窺える。
——平野昭著 作曲家◎人と作品シリーズ『ベートーヴェン』(音楽之友社)235ページより
小山 Op26では第1楽章に変奏曲を置くなどしていましたが、Op27では従来のソナタとはさらに違う作風になっていますね。
平野 「作曲家」ベートーヴェンの実験はまず、ソナタの第1楽章にソナタ形式を使わない、ということでした。今回のOp27は2曲ともそうして書かれているのですが、全楽章がアタッカでつながっているなど、より一層全体が密なつながりをもっています。
——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)95-96ページより
通常、楽章と楽章の間は一呼吸おいて演奏されるのが一般的ですが、この作品ではアタッカ(間を置かずに)で演奏されます。ぜひ第1楽章から続けて聴いて、緩・急・緩のコントラストを感じてみてください。
「ピアノ・ソナタ第13番 変ホ長調」Op.27-1
作曲年代:1800〜01年(ベートーヴェン30〜31歳頃)
出版:1802年3月カッピ社
Op.27の2曲の正式名は《幻想風ソナタ》
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