「ホルン・ソナタ ヘ長調」——名ホルニストとの共演のため超短期間で作曲!
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
名ホルニストとの共演のため超短期間で作曲!「ホルン・ソナタ ヘ長調」
平野 この作品は1日か2日で書き上げたという説もあるくらい、ベートーヴェンにしては速筆で作曲されたものです。
彼の弟子のフェルディナント・リース(1784-1838)が連れてきたホルン奏者、ジョヴァンニ・プント(シュプティッヒ・プント、1746-1803)との共演で初演していますね。初演日は1800年4月18日なのですが、プントがウィーンにきたのが3月だったので、「1日か2日」というのは大袈裟だとしても、非常に短期間での作曲だったことはわかります。(中略)
この作品はホルン奏者にとっての重要なレパートリーで、難しい作品です。これをナチュラル・ホルンで吹きこなしていたと考えると、プントの力量が相当なものだったことがわかります。
——小山実稚恵、平野昭著『ベートーヴェンとピアノ「傑作の森」への道のり』(音楽之友社)53-54ページより
現代のホルンは音階を吹きやすいように、ロータリーや、ピストンによって管の長さを調節するバルブ(弁)を備えています。当時のナチュラル・ホルンは、唇のコントロールと、管の出口に手をかざすテクニックだけで音程を変えていました。
ベートーヴェンに異例の短期間で作曲させたプントの音色は、一体どんなものだったのでしょう? 現代の奏者がナチュラル・ホルンで演奏した音源も参考に、想像してみるのも楽しいですね。
プントとベートーヴェンを引き合わせた弟子のフェルディナント・リースについては、こちらの記事もご覧ください!
ナチュラル・ホルンとフォルテ・ピアノによる演奏
「ホルン・ソナタ ヘ長調」Op.17
作曲年代:1800年4月(ベートーヴェン30歳)
出版:1801年3月
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