《軍楽のためのポロネーズ》ニ長調——保養地バーデンで作曲された小品
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
保養地バーデンで作曲された小品 《軍楽のためのポロネーズ》ニ長調
1810年は6月にゲーテの悲劇《エグモント》の舞台上演を済ませてから、いつもの年よりひと月ほど遅く7月下旬にバーデンでの保養に向かい、10月半ばまでの滞在中に非常に多くの小品を作曲している。
それは、イギリスの出版社から頼まれた数十曲の民謡にピアノ・トリオ編成の伴奏をつけるなどの仕事のほか、多くの軍楽用音楽ーー1分程度のものから、長くても3分ほどのものだ。
この《軍楽のためのポロネーズ》は長めの作品。ポロネーズ(ポーランドの舞曲)特有の4分の3拍子のリズムで、ファンファーレ風の8小節が2度繰り返されてから、主部21小節も繰り返され、ここで終止する場合と、任意(アド・リビトゥム)で16小節のコーダを加えることもある。
解説: 平野昭
ベートーヴェンは毎年、ウィーン近郊の高級避暑地バーデンに長期滞在していました。ベートーヴェン・ハウスがあり、今でもベートーヴェンゆかりの地として親しまれています。バーデンでのエピソード「ベートーヴェンと無銭飲食事件」や「ベートーヴェンとヴィーナー・ノイシュタット拘留事件」もぜひあわせて読んでみてください。
《軍楽のためのポロネーズ》ニ長調WoO21
作曲年代:1810年(ベートーヴェン40歳)
出版:1888年(旧全集版)
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