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2020.09.23
おやすみベートーヴェン 第283夜【不滅の恋人との別れ】

《ナイチンゲールの歌》——ヘルダーの詩にのせた鳴き声の描写がかわいらしい歌曲

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

ウィーン会議、ナポレオンの没落......激動のウィーンで43歳になったベートーヴェン。「不滅の恋人」との別れを経て、スランプ期と言われる時期を迎えますが、実態はどうだったのでしょう。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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ヘルダーの詩にのせた鳴き声の描写がかわいらしい歌曲 《ナイチンゲールの歌》

この作品は、残された自筆譜から1813年5月3日に作曲されたことがわかっている。4行詩、全9節を有節歌曲として作曲している。アレグロ・マ・ノン・トロッポ、ハ長調、4分の3拍子、全17小節。開始6小節の前奏はナイチンゲール(夜うぐいす)の鳴き声の描写オノマトペだ。

 

歌詞第1節「お聞き、ナイチンゲールが歌っている、春が再び巡ってきたのだ! 春が廻り来てすべての庭を覆い包む、シルバーに輝くアーモンドの花を巻き散らして、歓喜を満喫しよう。さあ陽気に楽しもう、春の盛りはあっという間に過ぎゆくのだから

 

この歌曲の詩人は、ドイツ民謡集の編纂でも知られるヨハン・ゴットフリート・ヘルダー(1744~1803)。彼は民謡研究者である以前に言語学者であり哲学者でもあった。さらに文学では若いゲーテや疾風怒濤期のドイツの文学、そして19世紀のロマン主義に大きな影響を与えている。

 

ベートーヴェンは1810年から15年のあいだにヘルダーの詩を少なくとも11編、『日記帳』(日記といっても、持続性はなく1812~18年の時期だけ思い出したように記す)に書き出している。

解説:平野昭

ナイチンゲールの鳴き声が、ピアノで表現されています。ベートーヴェンはこの作品以外にも、鳥の鳴き声を描写しました。詳しくは「ベートーヴェンと鳥の声」をご覧ください。

作品紹介

《ナイチンゲールの歌》WoO141

作曲年代:1813年(ベートーヴェン42歳)

初演:1813年5月3日

出版:1888年

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