パク・ウンビン、流暢な日本語、表現力の高い歌、ファンへの愛で観客を魅了
歌、ダンス、演奏……超人的な圧巻のパフォーマンスで我々を魅了してくれるステージ上のアーティストたち。類い稀な才能のみならず、そこには裏打ちされた確かな技術と並々ならぬ努力がある。本連載では、そんな海外アーティストにフォーカスし、彼らのパフォーマンスの源を探っていく。
今回は連載の「番外編」として、韓国のみならず世界で今もっとも注目を集める女優のひとり、パク・ウンビンさんの初めてのアジアファンミーティングツアー「2022 PARK EUN-BIN Asia Fan Meeting Tour EUN-BIN NOTE:BINKAN In Tokyo」のもようをお届けします!
国立音楽大学演奏学科鍵盤楽器専修(ピアノ)卒業、同大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学...
2022年11月19日、府中の森芸術劇場どりーむホールで開催されたパク・ウンビンの初アジアファンミーティングツアー「2022 PARK EUN-BIN Asia Fan Meeting Tour EUN-BIN NOTE:BINKAN In Tokyo」。申し込みの数が多く、急遽昼公演が追加されるほどの人気のイベントだ。
芸歴26年、幼少期から磨き上げてきた演技力でさまざまな役を演じ、圧倒的な存在感を示す一方、普段は愛くるしい笑顔で人々を魅了するウンビンの魅力が詰まった公演の、夜の部についてレポートする。
オープニングから流暢な日本語を披露
タイトルの「BINKAN」はウンビンによれば“空間”という意味に、彼女の名前の“斌”(びん)、そして輝くという意味をかけているという。「ファンのみなさんが輝かせてくれるこの空間」という言葉からも、彼女のファンに対する想いが感じられた。舞台のセットは白を基調とした、ぬくもりのある色調でまとめられており、後に登場する彼女の衣装を際立たせる役割も果たしていた。
公演のスタートは「日本のみなさん、こんばんは!」というあいさつと共に。パク・ウンビンはなんと走って登場し、歌を披露。1曲目に選んだのは、韓国の女性アイドルグループ「Red Velvet(レッドベルベット)」のメンバーJOY(ジョイ)のソロ1stスペシャルアルバム「Hello」のタイトル曲「Hello」。ハリのある艶やかな声で、元気いっぱいに歌唱しながらステージの端から端まで移動し、ファンに「アンニョン(こんにちはorこんばんは)」とあいさつ。愛嬌いっぱいのオープニングとなった。
ファンミーティングが始まるやいなや、日本語であいさつ(「おおきに~」と関西弁も!)。MCが話す内容を完全に理解している様子も見え、かなり日本語が堪能であることがうかがえる。高校時代に第二外国語として日本語を学んでいたそうだが、それにしてもここまで話し、理解できるというのは驚きである。語学のセンスもあると思うが、日本のファンのために勉強もしているのかもしれない。細かなところにも彼女の人となりが見えてくる。
多彩なコンテンツでファンを魅了
当日はいろいろなコーナーが設けられ、パク・ウンビンの人となりをファンとの交流を通して知っていくことができるように構成されていた。
最初は彼女の今日の気分を尋ねる「今日仕上げるプロフィール」。朝起きてしたことや美の秘訣、日本のファンへの想いなどが語られた。
2つ目は「ウンビンはファンのことが気になる」。ファンミーティングを「ファンのことを知ることができる機会」だと語り、”(ウンビンの)ファンになったきっかけ”について質問。そのあとはファンからのさまざまな質問に彼女が答えていくというものであった。
3つ目は全員参加のゲーム「わかりそうでわからないウンビン」。さまざまな2択の質問がステージ上の画面に表示され、パク・ウンビンと同じ回答を選んだ人が勝ち残っていくというもの。最後まで残った3名は、彼女がその場でイラストを描いたエコバッグがプレゼントされた。さらさらと描いたのはウサギ(「ウサギ隊長」と呼ばれるほどのウサギ好き!)にクジラ(『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』にちなんで)、ネコ(会場からのリクエスト)。クジラやネコは「難しいです」と言いながらも、筆は軽快。可愛らしい、世界にひとつだけの作品が完成した。
衣装チェンジのために退席すると、スペシャル映像がスタート。これまでパク・ウンビンが演じてきた『恋のドキドキシェアハウス~青春時代~』(16年)のソン・ジウォン、『ストーブリーグ』(19-20年)イ・セヨン、『恋慕』(21年)イ・フィ、『ブラームスは好きですか?』(20年)チェ・ソンアが画面に登場。コントふうのやり取りを見せる。コミカルな演技をするシーンの映像だが、同じ人間がこれだけ幅の広い役を自然に演じているということでもあり、驚きでもあった。改めて“女優パク・ウンビン”の凄さを見せつけられた。
着替え終わったパク・ウンビンは、『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』の挿入歌「済州島の青い夜」を歌唱しながら登場。1曲目とは違った透明感のある声色と繊細な表現を響かせ、歌声でも表現力の幅広さを見せた。
高い表現力がいかされた歌唱に会場が酔いしれた
イベント後半最初のコーナーは「画用紙のような魅力の持ち主パク・ウンビン」。子役から活躍を続け、芸歴は26年。それまでを振り返ると、「毎日一生懸命やってきた」と同時に「みなさんのおかげでここまでこられました」とやはり謙虚に語る。その後、ファンが選んだ名場面や名台詞のシーンを画面で観ていくのだが、ここで彼女は自分の出演シーンに日本語でツッコミ。コメディエンヌの才能の片鱗をうかがわせた。
そのあとの質問コーナーでは、こんな印象深い話題も出た。『ブラームスは好きですか?』の中で一番好きなシーンは? という質問が出たところ、パク・ウンビンは「ヴァイオリンを弾くシーンです」と回答。子どもの頃にヴァイオリンは習っていたそうだが、完全に忘れていたという。しかし演じるにあたり演奏の代役を立てられないことから、必死に練習し、どんどん上達したそうだ。実際に劇中では美しいフォームで格調高い演奏を披露している。
その後、たくさんの素晴らしい作品とファンへの愛情をくれるパク・ウンビンを愛するファンやスタッフからのサプライズ「#ウンビンに一言」の場面も。たくさんの想いの詰まったメッセージや映像に大粒の涙を零した。
最後にも歌を披露し、聞かせてくれたのは大原櫻子の「ちっぽけな愛のうた」。“キミとボクが出会ったこの奇跡 心から感謝しているよ”という歌詞を届けたいという想いから選んだという。ここでも力強く言葉の一つひとつを大切にした歌唱を聞かせ、パク・ウンビンの表現力、演技力の源のひとつにはこの言葉に対するセンスとそれを伝えようとする想いの強さがあることを実感。
また、音程の幅が広く難しい楽曲を見事に歌い上げたパフォーマンスからは、ドラマでの高いレベルによるヴァイオリン演奏、得意とするピアノ演奏などで培われた音感のよさやセンスがベースにあることが感じられた。
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