マリー・アントワネットが愛したハープ~流行を引き起こし、名曲も誕生!
フランス王妃マリー・アントワネットが生涯にわたり愛したハープ。自作の子守唄を子どもたちに聴かせ、幽閉中までもハープの音色に耳を傾けたそう。そして、音色だけでなく楽器そのものも美しく、貴族の間で大流行が起こりました。ハープ奏者の中村愛さんが18世紀フランスのハープの世界に案内します。
幅広い演奏活動を展開する傍ら、ハープの埋もれた名曲の発掘に加えて多くの編曲を手掛ける。2022年、浜離宮朝日ホール主催によるオール・フォーレ・リサイタルを開催し、「レ...
1789年にフランス革命が勃発し、貴族に対する国民感情の反発をもっとも受ける形で断頭台の露と消えた悲劇の王妃マリー・アントワネット(1755〜1793)。彼女が行なったことや身に付けていたファッションは、当時のフランスで流行しました。実は、ハープもその中の一つなのです! この記事では、彼女を取り巻くハープのお話をしていこうと思います。
習い事のなかで一番好きだったハープ
アントワネットは歌(先生は、かのグルック!)、クラヴサンなどを習っていましたが、なかでもハープはもっとも好きな楽器だったそう。フランスのルイ16世に嫁いだあとも「ほぼ毎日ハープのレッスンを受けていて、本当に楽しい!」と綴った手紙を母親であるマリア・テレジアに送っています。練習が嫌いな私からは信じられない手紙なのですが、実際に彼女は上手にハープを弾いて来客をもてなしていたそうで、こういった情景は絵画でも残されています。
彼女のハープの先生はフィリップ=ジョセフ・ヒンナー(1754〜1805)というドイツ生まれのハープ奏者で、1775年にはいくつかのソナタを彼女に献呈しています。また、アントワネット自身もハープの曲を作っており、自分の子どもたちを寝かしつけるときに、自作の子守唄をハープで弾いて聴かせたそうです。
マリー・アントワネット作曲「私の恋人」
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