全審査が一般公開! 第9回武蔵野市国際オルガンコンクールとイベントでパイプオルガンを満喫
国内外から出場者が集う「第9回武蔵野市国際オルガンコンクール」がコロナ禍を経て6年ぶりに開催されます。一般公開される審査だけでなく、体験イベント、審査委員によるワークショップなどのイベントも楽しむことができます。同コンクールに入賞経験があり、今回審査委員を務める廣江理枝さんに、武蔵野市民文化会館のパイプオルガンやコンクールの魅力について教えてもらいました!
国立音楽大学演奏学科鍵盤楽器専修(ピアノ)卒業、同大学大学院修士課程器楽専攻(伴奏)修了を経て、同大学院博士後期課程音楽学領域単位取得。在学中、カールスルーエ音楽大学...
アジア初、そして日本で唯一の国際オルガンコンクールである「武蔵野市国際オルガンコンクール」。1988年から原則4年ごとに開催されており、2003年には国際音楽コンクール世界連盟にも加盟。圧倒的な存在感を示している。これまでの入賞者は多方面での活躍を見せているが、東京藝術大学教授であり、今年開催の第9回で審査委員を務める廣江理枝もその一人である(第3回最高位入賞)。今回は廣江氏に同コンクールの特色、会場となる武蔵野市文化会館のオルガンについてお話を伺った。
コンクール以外にもオルガンの魅力を気軽に楽しめるユニークなイベントが目白押し
——さまざまな国際オルガンコンクールの中で、「武蔵野市国際オルガンコンクール」ならではの特色はどこにあるのでしょうか?
廣江 今年で35年目、第9回を迎え、歴史を重ねていくなかで、かなり国際的にも知名度の高いコンクールとなりました。海外で審査をしていても「武蔵野はどう?」と尋ねられる機会も多いです。
このコンクールは約2週間という期間でコンサートや体験イベント、審査委員によるワークショップなども催されます。コンクールでの白熱の演奏、緊張感のある雰囲気はもちろんですが、気軽に楽しみながらオルガンの魅力を知っていただける機会がたくさん用意されているのも特色だと思います。私もガラ・コンサートやワークショップに参加させていただきます。
1988年桐朋学園大学音楽学部演奏学科ピアノ専攻卒業。1995年東京藝術大学 大学院音楽研究科修士課程器楽専攻オルガン修了。DAAD(ドイツ学術交流会)、アサヒビール文化財団より奨学金を得て、ドイツ国立ハノーファー音楽大学ならびにシュトゥットガルト音楽大学へ留学、ソリスト課程を卒業。オルガンを廣野嗣雄、ウルリヒ・ブレムシュテラー、ルドガー・ローマンの各氏に師事。 1998年アジア人で初めてフランス・シャルトル大聖堂国際オルガンコンクールにて優勝。デンマーク・オーデンセ国際オルガンコンクール優勝、及び武蔵野市国際オルガンコンクール最高位受賞のほか、ブルージュ古楽国際コンクール、ライプツィヒ国際バッハコンクール、プラハの春国際コンクール、ニュルンベルク国際オルガン週間コンクールなど数多くの国際コンクールで入賞。 現在、東京藝術大学音楽学部器楽科オルガン専攻教授。国際コンクール審査員やマスタークラス教授として海外からの招聘も多い。
審査は第1次から公開! 武蔵野市民文化会館と聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所のオルガンを味わい尽くす
——オルガン・フェスティバルともいえる華やかさがありますね。コンクールは第1次予選から公開審査ですが、課題曲などにも特徴はあるのでしょうか。
廣江 課題曲も幅広い時代、作曲家のものが選ばれています。というのも、武蔵野市民文化会館のオルガンは演奏者にとって非常にフレンドリーな楽器で、バロックからロマン、現代とあらゆる時代の作品をカバーできる多様性、ストップ(音色)の操作が非常に機能的になっているなど、扱いやすい楽器なのです。
第1次審査ではバッハにブラームス、メシアンが課題曲になっているのですが、それらを無理なく演奏できてしまいます。ホールの響きの良さと相まって、魅力的な音色が奏でられるはずですし、お客様にとっても心地いい時間をお楽しみいただけることでしょう。出場者のみなさんがそれぞれの時代の作品をどのように演奏してくださるのかとても楽しみです。
——第2次予選では会場が「聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所」となりますが、ラウンドの途中で別会場になるというのも特徴的ですね。
廣江 毎回ではないですが、過去にも2回この試みが行なわれており、海外のコンクールでも決して珍しいものではありません。第2次予選の会場のオルガンは、バロックやルネサンスに適した楽器なので、出場者のみなさんが違う楽器でどのような対応をしてくださるのか、審査委員としてはとても興味深いところです。
——これまで多くの国から参加者が出場していますね。
廣江 ヨーロッパにアジア、アメリカなど本当にさまざまな国からご参加くださいます。コロナ禍明けの直後の募集だったこともあり、今回はどうなるかと思っておりましたが、前回(2017年)よりも多い16か国67名の方にご応募いただきました。予備予選を行ない、第1次予選にはその中から10か国15名の方が出場いたします。
——今回も多彩な出場者が熱演を聴かせてくれるのがとても楽しみですね。オルガンの音色は迫力と圧倒的な色彩感がありますが、廣江さんご自身はオルガンの魅力についてどのように感じていらっしゃるのでしょうか。
廣江 私自身は中学生の頃、たまたま聴いた音色に衝撃を受けて憧れをもち、そこからずっとオルガンに魅了されています。本当に偶然の出会いでしたが、そういう方は結構多いのです。今回のコンクールや関連イベント、コンサートで少しでも多くの方がオルガンの魅力や楽しさに出会ってくださることを願っています。
またオルガンは他の楽器との共演でもとても力を発揮するのです。私は特に管楽器との音色の溶け合いに感動しています。いろいろな楽曲や編成で活躍するこの楽器の奥深さも知っていただけたらうれしいですね。
日時: 2023年9月3日(日)18:00開演
会場: 武蔵野市民文化会館 小ホール
出演: 山田由希子、冨田一樹、大木麻理、三原麻里、大平健介
料金: 全席指定
一般 1,000円、友の会 900円、25歳以下 500円(予定枚数終了)
詳しくはこちら
日時: 2023年9月5日(火) 、9月15日(金) 、9月16日(土)各日18:00開演
会場: 武蔵野市民文化会館 大ホールステージ上
出演: 5日:マティアス・マイヤーホーファー、クシシュトフ・ウルバニアク
15日:イヴ・レヒシュタイナー、キム・ジスン
16日:トマ・オスピタル、廣江理枝、ファッサン・ラスロ
料金: 全席自由
各日 一般 1,000円、友の会 900円、学生(小学生以上) 500円、通し券(3日間有効)2,500円
詳しくはこちら
日時: 2023年9月7日(木)18:30開始 、9月8日(金)17:20開始 、9月11日(月)17:00開演
会場: 武蔵野市民文化会館 小ホール(7日、8日)、聖グレゴリオの家(11日)
出演: 7日:キム・ジスン、トマ・オスピタル
8日:イヴ・レヒシュタイナー、ファッサン・ラスロ
11日:マティアス・マイヤーホーファー、クシシュトフ・ウルバニアク
料金: 全席自由
各日 一般 1,500円、友の会 1,350円、学生 500円
詳しくはこちら
日時: 2023年9月9日(土) 、9月10日(日)各日17:00開演
会場: 武蔵野市民文化会館 小ホール
料金: 全席自由、2日間有効
一般 1,000円、友の会 900円、25歳以下 500円
詳しくはこちら
日時: 2023年9月12日(火)18:00開演
会場: 武蔵野市民文化会館 小ホール
出演: イヴ・レヒシュタイナー、ファッサン・ラスロ、廣江理枝、キム・ジスン、マティアス・マイヤーホーファー、トマ・オスピタル、クシシュトフ・ウルバニアク
料金: 全席指定
一般 1,000円 友の会 900円 25歳以下 500円(予定枚数終了)
詳しくはこちら
日時: 2023年9月13日(水) 、9月14日(木)各日16:00開演
会場: 聖グレゴリオの家 宗教音楽研究所
料金: 全席自由、2日間有効
一般 1,000円、友の会 900円、25歳以下 500円(予定枚数終了)
詳しくはこちら
日時: 2023年9月16日(土)15:00開演
会場: 武蔵野市民文化会館 大ホール
講演: キム・ジスン、キム・ウォンヘ(通訳)
料金: 全席自由
一般 3,000円、友の会 2,000円、25歳以下 1,000円
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