
ウィーン少年合唱団が日本ツアーを実施!「天使の歌声」による音楽の世界旅行へ

初夏のクラシック音楽界の風物詩、「ウィーン少年合唱団」の来日公演。世界に数ある少年合唱団のなかでも、この合唱団のオールマイティなエンタテイナーぶりは突出している。宗教曲からミュージカル、映画音楽にまで対応できる多彩で伸びやかな音楽性と、訪問国の歌を原語で歌いこなすサービス精神。「World Hits~音楽でめぐる世界旅行~」と題されたBプログラムは、そのオリジナリティを体現したコンサートとなった(5月4日・サントリーホール)。
今回の来日はブルックナー組で、2008年からカペルマイスターを務めるマノロ・カニンが総勢23名を率いる。カニンはリズムを生かしたノリのよい音楽づくりが得意なようで、歌いながらの登場、日本語によるMC、大ぶりのジェスチャーや豊かな表情など、ステージマナーもサービス精神満点。その活動性が音楽にも生きる。とくにポピュラー・ナンバーは明るく生き生きした音楽づくりで、カニンの個性が伺えた。
古典のレパートリーでも、ベートーヴェン《第九》から〈歓喜の歌〉とオルフ《カルミナ・ブラーナ》から〈おお、運命の女神よ〉を続けて演奏して2曲の個性を際立たせたり、宗教作品であるロッシーニ「3つの聖歌」から〈愛〉の前で《セビリアの理髪師》の一節を入れるなど演出が憎い。日本語の歌も複数歌われたが、上皇陛下ご夫妻の合作である《歌声の響》が取り上げられたのは、ハプスブルクの王朝文化から生まれたこの合唱団ならではだと思えた。
ハイライトは、この来日公演のために委嘱された藤倉大の新作《Moon Boat(月の舟)》。宮澤賢治、万葉集、中原中也のテキストを自在に組み合わせたア・カペラの合唱曲で、「音」としての日本語が微妙な和声で重なり合い、柔らかで幻想的な響きを奏でた。絶えず冒険を重ねるこの合唱団らしい、新鮮な時間だった。
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