読みもの
2020.04.29
ビールと音楽の美味しい関係 1杯目

リヒャルト・シュトラウスの叔父さんが描かれた白ビール

山取圭澄
山取圭澄 ドイツ文学者

専門は18世紀の文学と美学。「近代ドイツにおける芸術鑑賞の誕生」をテーマに研究を進める。ドイツ音楽とビールには目がない。 J.S.バッハ、ドイツ歌曲をこよなく愛し、ピ...

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ドイツではスーパーでも見かけるくらい馴染みのある、ハッカー・プショル社のヴァイスビア(白ビール)。クローブのような香り、シルクのような口当たりが特徴である。約1ユーロ(約120円)で買うことができるお手軽さ。

このビール、実は作曲家リヒャルト・シュトラウスと深い関係がある。

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瓶には、ゲオルグ・プショルという人物が描かれている。なんと、彼はリヒャルト・シュトラウスの叔父にあたる。巨大なビール醸造所を保有し、バイエルン随一の資産家だったらしい。

プショル家は邸宅に音楽家を招き、しばしばサロンコンサートを催していた。リヒャルト・シュトラウスの父は、ホルン奏者として参加し、やがてプショル家の令嬢と結婚した。つまり、瓶に描かれているのは、リヒャルト・シュトラウスの母の兄というわけだ。

普通のビールは大麦で作られるが、白ビールは小麦と大麦を混ぜて作られる。ホップの苦味が少なく、バナナやクローブのような香りが特徴。酵母が濾過されていないため、タンパク質などの栄養も満点だ。
プショル社の白ビールは、口当たりが特に滑らかで、女性にもおすすめ。

結婚後シュトラウス一家は、プショル家の邸宅に移り住んだ。リヒャルト・シュトラウスも親族と室内楽を楽しんだようで、叔父に「ピアノ三重奏曲第2番 」を、叔母に「ピアノ・ソナタ第3番 変ロ長調 」を、従兄弟に「兵士の歌(Soldatenlied )」を献呈している。

1898年に撮影されたプショル一族。「兵士の歌」は右から2番目のアウグスト・プショルに献呈された。

これらの曲に耳を傾け、白ビールを飲みながら、大作曲家の日常に想いを馳せてみたい。

山取圭澄
山取圭澄 ドイツ文学者

専門は18世紀の文学と美学。「近代ドイツにおける芸術鑑賞の誕生」をテーマに研究を進める。ドイツ音楽とビールには目がない。 J.S.バッハ、ドイツ歌曲をこよなく愛し、ピ...

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