波多野睦美・高橋悠治・栃尾克樹の「風ぐるま」公演~ここでしか聴けない曲との出合い
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
シェイクスピア時代のイギリスのリュートソングでデビュー以来、古楽から現代音楽、歌曲からオペラにいたるまでレパートリーと活躍の場を広げ、様々なジャンルの奏者とのコラボレーションも活発に続ける波多野睦美(メゾソプラノ)。
2012年には、2008年以来共演を続けている高橋悠治(作曲家/ピアニスト)、栃尾克樹(バリトンサクソフォーン)とともに、ジャンル、時代を越えた独自のプログラムによる音楽ユニット「風ぐるま」の活動をスタートさせた。これまでに「風ぐるま」「風ぐるま2~鳥のカタコト、島のコトカタ」の2枚のCDを発表している。
このユニットの公演「風ぐるま~時代を越えて音楽の輪を回す~」が、10月18日(火)13:30から浜離宮朝日ホールで開催される。アーティストこだわりの音楽をじっくりと楽しむ「浜離宮アフタヌーンコンサート」のシリーズ初登場で、バロックから現代音楽、高橋悠治作品まで幅広い音楽を、トリオ、デュオ、ソロで色彩豊かに届ける。
曲目は、詩人・森崎和江の詩集から高橋が詩を選び波多野のために書き下ろした《旅だちながら》や、作曲家で詩人のアイヴァー・ガーニーの詩に高橋が作曲した《バッハと歩哨》を波多野の歌と高橋のピアノで。
高橋が2009年に作曲した《エンバース(残火)》は、東京佼成ウインドオーケストラで活躍中で高橋悠治のピアノとの共演も多い、栃尾克樹のソロで。
さらにバロック時代の作曲家マラン・マレが、麻酔のなかった時代の自身の膀胱結石手術の様子を描いた壮絶な《膀胱結石手術図》という珍しい曲もトリオで演奏される。
このほかにもJ.Ph.ラモーやパーセル、ピアソラ、ヒンデミット、J.S.バッハと、3人のこだわりが詰めこまれた魅力的なプログラム。没後30年のピアソラ作品は、バンドネオン奏者で作曲家の啼鵬が「風ぐるま」のために編曲したものだ。
波多野睦美の歌の魅力、傘寿を超えてなお歩みを止めない高橋悠治の作品とピアノ、栃尾克樹によるバリトン・サックスという楽器の可能性……ここでしか聴けない楽曲を円熟のアーティストで聴く、ぜいたくなコンサートだ。
http://www.suigyu.com/yuji_takahashi/
著書:「高橋悠治/コレクション1970年代」「音の静寂静寂の音」(平凡社)、「きっかけの音楽」「カフカノート」(みすず書房)え_柳生弦一郎
日時:2022年10月18日(火) 13:30
会場:浜離宮朝日ホール
出演:波多野睦美(歌)、高橋悠治(作曲・ピアノ)、栃尾克樹(バリトンサクソフォーン)
曲目:
J.Ph.ラモー:コンセール第5番よりフーガ〈trio〉、H .パーセル:ほら夜がやってくる〈trio〉、A.ピアソラ:オブリビオン〈trio〉、A.ピアソラ:アディオス・ノニーノ〈サックス+ピアノ〉、P .ヒンデミット/詩・E.ライナッハー:死せる屍〈歌+サックス〉、高橋悠治/詩・森崎和江:旅だちながら〈歌+ピアノ〉、マラン・マレ:膀胱結石手術図〈trio〉、高橋悠治/詩・I.ガーニー:バッハと歩哨〈歌+ピアノ〉、J.S.バッハ:プレリュードとフーガ BWV851 ニ短調(平均律クラヴィーア曲集 第1巻6番)〈ピアノソロ〉、高橋悠治:エンバース(残火)〈サックスソロ〉、高橋悠治/詩・辻征夫:六番の御掟について〈trio〉
料金:全席指定・税込み ¥5,000
問合せ:朝日ホール・チケットセンター 03-3267-9990(日・祝除く10:00-18:00)
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