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2026.04.19
2026年5月22日公開

映画『ヴィヴァルディと私』──ヴィヴァルディと出会った、ある一人の少女の物語

Ⓒ 2025 INDIGO FILM, WARNER BROS. ENTERTAINMENT ITALIA, MOANA FILMS

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バロック音楽の巨匠、アントニオ・ヴィヴァルディの知られざる一面に迫る映画『ヴィヴァルディと私』(原題:PRIMAVERA)が5月22日、公開される。

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クラシック音楽の定番として親しまれる名曲《四季》の作曲家として知られるヴィヴァルディと、一人の少女の出会いを軸に、“音楽が人生をどう変えるのか”を鮮烈に描き出す注目作。

少女チェチリアを演じるテクラ・インソリア(左から3人目)

映画の舞台は、18世紀初頭のイタリア、ヴェネツィア。孤児や捨て子を育てるピエタ院で暮らす少女チェチリアは、母の愛を知らずに育ちながらも、内に秘めた音楽の才能を持っていた。そこへ赴任してきたのが、ヴァイオリン教師のヴィヴァルディ。彼はチェチリアの非凡な才能を見抜き、厳しくも情熱的な指導を通して彼女を導いていく。

1346年に創設されたピエタ院は何世紀にもわたって、孤児やさまざまな事情で捨て子となった子どもを受け入れて養育していた。男子は職業訓練を受けて16歳で去るが、女子は修道女となるか、求められた結婚をするか、生涯を院の中で過ごすか、のいずれかだった。10歳ごろになると、音楽の才能のある女子は厳しい音楽教育を受け、演奏することでピエタ院の収益を支えた。

ヴィヴァルディ役を務めたミケーレ・リオンディーノ(右)

やがてチェチリアは第一ヴァイオリンのリーダーへと成長し、2人の関係は単なる師弟を超えた深い絆へと変わっていく。しかし、外の世界へ出る自由を持たないチェチリアには、結婚という現実が迫る。音楽と自由、そして運命の狭間で揺れる少女の選択が、観る者の胸を強く打つ。

この映画の魅力は、単なる伝記映画にとどまらない点にある。ヴィヴァルディ自身もまた、大作曲家としての顔ではなく、名声への渇望と創作への苦悩を抱える一人の人間として描かれる。音楽を“生み出す力”であり“人を解放する力”として捉え、師弟それぞれの葛藤と成長を丁寧に浮かび上がらせている。

本作でメガホンをとったのは、オペラ演出家として世界的に活躍するダミアーノ・ミキエレット。長年舞台で培った音楽的感性が映像に息づき、ヴェネツィアの歴史と空気感をリアルに再現。劇中の音楽は、フェニーチェ劇場管弦楽団が担当。

チェチリア役には新鋭テクラ・インソリア、ヴィヴァルディ役には実力派ミケーレ・リオンディーノがキャスティング。2人の繊細かつ力強い演技が、音楽に人生を賭ける人間のドラマに深みを与える。

音楽は人を救うのか、それとも縛るのか——。閉ざされた世界の中で響く旋律が、やがて未来を切り開く力へと変わる瞬間を描いた本作は、クラシック音楽ファンはもちろん、“何かを求めている人”に響くだろう。

劇中に登場するヴィヴァルディの音楽

ヴィヴァルディ:詩編第126「ニシ・ドミヌス」RV608より
「眠る間に主は与えたもう」

演奏:アンサンブル・マテウス、ジャン=クリストフ・スピノージ、フィリップ・ジャルスキー

 

ヴィヴァルディ:オラトリオ「蛮族の王ホロフェルネスを討伐した勝利のユディータ」
第一部 ヴァガウスと合唱 「おお、何としとやかで美しく魅力的なことか」RV 644

演奏:アレッサンドロ・デ・マルキ、アカデミア・モンティス・レガリス、サンタ・チェチーリア国立アカデミア青年合唱団

 

ヴィヴァルディ:オラトリオ「蛮族の王ホロフェルネスを討伐した勝利のユディータ」
第一部 合唱 「武器を手に、殲滅せよ、復讐せよ」RV 644

演奏:アレッサンドロ・デ・マルキ、アカデミア・モンティス・レガリス、
サンタ・チェチーリア国立アカデミア青年合唱団
※ピエタ院のために1716年に作曲。ヴィヴァルディのオラトリオ(聖譚曲)で唯一現存するもの

映画情報
映画『ヴィヴァルディと私』

2026年5月22日(金)よりシネスイッチ銀座、ユーロスペース、アップリンク吉祥寺ほか全国順次ロードショー。

監督・脚本:ダミアーノ・ミキエレット
編集:ヴァルテル・ファサーノ
衣装:マリア・リータ・バルベラ
音楽:ファビオ・マッシモ・カポグロッソ

原作:ティツィアーノ・スカルパ『 ヴィヴァルディと私』(河出書房新社刊/中山エツコ訳)

出演:テクラ・インソリア、ミケーレ・リオンディーノ、アンドレア・ペンナッキ

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