イベント
2026.10.29
11月21日~2027年1月31日「ニコライ・アストルップ 創造する庭」

【チケットプレゼント】ムンクの陰に隠れた北欧の巨匠、ニコライ・アストルップ日本初の回顧展に5組10名様をご招待!

「ムンクと並ぶノルウェーの巨匠」と称される画家ニコライ・アストルップ。長らくノルウェー本国以外では知られざる存在でしたが、近年の再評価により世界的な注目を集めています。11月21日に開幕する日本初の回顧展「ニコライ・アストルップ 創造する庭」にむけて、アストルップが描いた世界をのぞいてみましょう。回顧展のチケットプレゼントもありますので、ふるってご応募ください!

安保美希
安保美希 編集者・ライター

音高を卒業後、北欧ノルウェーとフィンランドの音大でピアノを学び、厳しい寒さと日照時間の短い冬に強くなって帰国。最近はもっぱらオルガンにはまって足鍵盤に奮闘中。フルコン...

《ジギタリス》1920年頃|油彩・木版、カンヴァス|DNB貯蓄銀行財団/コーデ・ベルゲン美術館
Photo: Dag Fosse / Kode

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ベールに包まれた画家、満を持して日本初の回顧展

ニコライ・アストルップ(1880–1928)は、西ノルウェーに生まれ、険しい山々に囲まれた湖畔の村、ヨルステルで育った。生涯この地を拠点に据え、天候や季節によって表情を変える自然と人々の暮らしを描き続けた彼は、「私はおそらく、この国でもっとも大地に根ざした画家の一人である」という言葉を残している。

ノルウェーの美術界には、「叫び」で知られるエドヴァルド・ムンクという大きな存在がいる。ムンクより17歳若いアストルップは、ムンクの圧倒的な名声の陰に隠れ、長らくその存在がノルウェー国外に大々的に知られることはなかった。

ニコライ・アストルップ Nikolai Astrup|ペール・クラーメル撮影、1920年頃、個人蔵 Photo : Per Kramer
 
略歴

1880年 ノルウェー西海岸のブレマンゲルに生まれる
1883年 家族とともにヨルステル(現・スンフィヨルド)のオールフースにある牧師館に移住
1899年 クリスティアニア(現・オスロ)のノルウェー王立絵画学校で短期間学んだのち、画家ハリエット・バッケルの絵画教室に通う(〜1901年)
1901年 奨学金を得て、ドイツ諸都市を周遊したのちパリに滞在し、アカデミー・コラロッシで学ぶ
1902年 ヨルステルに戻り、オールフースの牧師館に住む
1904年 最初の木版画を制作
1905年 クリスティアニアで初個展を開催
1907年 エンゲル・マリーエ・スンデと結婚
1911〜26年の間に8人の子どもが生まれる
1908年 ロンドンへの研究旅行
ヴィクトリア&アルバート博物館で浮世絵版画を研究する
1911年 ベルリンへの研究旅行
1912年 ミクレブスト *1 に転居するが、土地をめぐる法的紛争により退去を余儀なくされる
同年、サンダルストラン *2 に転居。住居や庭の整備を進める
1916年 コペンハーゲン、ストックホルムへの研究旅行
1918年 クリスティアニアで木版画による個展を開催
1922年 ヨーロッパ各地を経由しチュニジア、アルジェリアへ長期研究旅行(〜1923年)
1927年 フェルデ *3 に絵画学校を設立
1928年 フェルデ滞在中、肺炎のため逝去(47歳)
1986年 サンダルストランの住居と庭、作品を一体的に展示する施設「アストルップトゥーネ」の公開が始まる

*1 ノルウェー西部の町
*2 アストルップが家族と暮らした土地
*3 ノルウェー西部の町

ニコライ・アストルップという画家にとって芸術の核となったのは、「庭」である。植物に対して並々ならぬ情熱を注いだアストルップは、自宅の庭で実験的な栽培を繰り返した。「私はこの山村で育つ可能性のあるもの、そして育たないものまで、あらゆる植物の栽培を試すのが、どうしようもなく好きなのだ」と語るように、庭は彼の飽くなき探究心のメタファーであった。

《ルバーブ》1911-21年|油彩、カンヴァス|DNB貯蓄銀行財団/コーデ・ベルゲン美術館
Photo: Dag Fosse / Kode
《花咲くリンゴの木》1926-27年|油彩、カンヴァス|DNB貯蓄銀行財団/コーデ・ベルゲン美術館
Photo: Dag Fosse / Kode

回顧展「ニコライ・アストルップ 創造する庭」では、幼少期を過ごした牧師館の庭や、最後の住まいとなったサンダルストランの開拓された庭が描かれた作品群が展示される。

浮世絵の影響から独自の手法へ

アストルップは、1908年のロンドン滞在時にヴィクトリア&アルバート博物館で目にした日本の浮世絵版画から多大な影響を受けた。大都市の工房から離れた場所ですべての工程を自身で行なう必要があったアストルップは、油彩と木版を組み合わせ、一点ずつ手で加筆するという独自の制作手法を生み出す。彼は「もしすべての摺りをまったく同じにしてしまえば、それはあまりにも退屈で、芸術的ではないだろう」と述べている。

この回顧展では、油彩や木版画、版木に加え、アストルップの母親と協働して手がけたテキスタイルデザインの仕事にも光が当てられる。幼い頃から芸術的な手仕事に囲まれた家庭環境が制作に与えた影響も検証され、画業の全貌が多角的に明かされる。

《石の上の鳥》1905-14年の間|多色摺木版、紙|DNB貯蓄銀行財団/コーデ・ベルゲン美術館
Photo: Dag Fosse / Kode
《春の夜と柳》1917-27年の間|多色摺木版、紙|DNB貯蓄銀行財団/コーデ・ベルゲン美術館
Photo: Dag Fosse / Kode

アストルップと同郷の音楽家たち

アストルップにとって、音楽は重要な存在だった。

彼が育ったヨルステルは、湖を囲む高い山々に囲まれ、農場が点在する、いわば外界から隔離されたような土地であった。少年期のアストルップがもっとも身近に接した音楽はノルウェーの民俗音楽、とりわけ伝統楽器であるハーディングフェーレ(英語:ハルダンゲルフィドル)で演奏されるものだった。《夏至の祭火》の一連の絵画には、踊り手やフィドル奏者が登場する。

中央手前で踊る男女ペアの左上部に描かれているのはフィドルを奏でる男性。
《夏至の祭火》1915年|油彩、カンヴァス|DNB貯蓄銀行財団/コーデ・ベルゲン美術館
Photo: Dag Fosse / Kode

アストルップと同郷の世界的ピアニスト、レイフ・オヴェ・アンスネスは、アストルップのノルウェー国外初の展覧会が2016年にロンドンのダリッジ・ピクチャー・ギャラリーで開催された際、ノルウェーの作曲家たちの音楽を紹介するコンサートを企画した。

アンスネスがプログラムで披露したエドヴァルド・グリーグ(Edvard Grieg 1843-1907)は、ドイツのライプツィヒで学びシューマンをはじめ伝統的なドイツ音楽から影響を受けつつも、アストルップと同様に、祖国の土着の民俗文化に強く惹きつけられ、民俗音楽を題材とした音楽を多く遺している。

本展の企画協力として参加しているノルウェーのベルゲンにあるコーデ(KODE)は、美術館だけでなく、ノルウェー音楽史に名を残す作曲家の旧居や記念館を博物館として管轄している機関でもある。その作曲家には、エドヴァルド・グリーグ、ハーラル・セーヴェルー(Harald Sæverud 1897-1992)、‟北欧のパガニーニ”と呼ばれヴァイオリニストでもあったオーレ・ブル(Ole Bull 1810-1880)の3人が名を連ねる。

19歳の頃からアストルップは、ノルウェーを代表する女性画家のハリエット・バッケル(Harriet Backer 1845-1932)の絵画教室に通っていた。ハリエットの妹のアガーテ・バッケル=グレンダール(Agathe Backer Grøndahl 1847-1907)は、同世代のグリーグが「私の知る限り、もっとも優れたピアニストの一人」と称えるほどのピアニスト・作曲家であった。《ピアノ協奏曲 イ短調》のロンドン初演など重要な場面ではソリストとしてアガーテを指名している。グリーグとアガーテは、生涯にわたって信頼し合う友人であった。

「ニコライ・アストルップ 創造する庭」展は、美術と音楽というジャンルの垣根を超えて、北欧の芸術文化を守り伝えてきたコーデの協力によって実現した。

コーデが運営する作曲家3人の博物館 エドヴァルド・グリーグ博物館「トロルハウゲン」

ハーラル・セーヴェルー博物館「シルユストゥル」

オーレ・ブル博物館「リーシェーン」

開幕初日11月21日には、本展監修者のスサンナ・ペッテルソン フィンランド文化財団理事長、トーヴェ・ハウグスボー コーデ・ベルゲン美術館シニア・キュレーターを迎えたシンポジウムも予定されている。東京ステーションギャラリーの会期終了後は、山口、愛知、神奈川を巡回する予定。

北欧ノルウェーの厳しい自然と響き合ったアストルップの世界に、じっくりと耳を澄ませてみてほしい。

プレゼントチケット応募方法

ONTOMO読者の皆さまの中から抽選で5組10名様に、本展覧会のチケットをプレゼント! この貴重な機会に、ぜひご応募ください。

応募締切:2026年11月18日(水)

 

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みなさまのご応募をお待ちしております。

イベント概要
回顧展「ニコライ・アストルップ 創造する庭」 Nikolai Astrup The Garden of Growth

 

会期 2026年11月21日(土)〜2027年1月31日(日)

会場 東京ステーションギャラリー

開館時間 10:00~18:00(金曜日~20:00)※入館は閉館30分前まで

休館日 月曜日(11/23、1/11、1/25は開館)、11/24(火)、年末年始(12/28~1/2)、1/12(火)

詳細 https://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/202611_astrup.html

主催 東京ステーションギャラリー(公益財団法人東日本鉄道文化財団)、産経新聞社

特別協力 DNB貯蓄銀行財団

企画協力 コーデ・ベルゲン美術館

開幕記念シンポジウム

日時 2026年11月21日(土)14:00~17:30

会場 JPタワー ホール&カンファレンス(東京都千代田区)

参加費 無料  

定員 150名(事前申込制)

【第1部】発表登壇者

スサンナ・ペッテルソン(フィンランド文化財団理事長)

トーヴェ・ハウグスボー(コーデ・ベルゲン美術館シニアキュレーター)

橋口由依(神奈川県立近代美術館学芸員)

森 万由子(東京ステーションギャラリー学芸員)

【第2部】ディスカッション・パネリスト

スサンナ・ペッテルソン *モデレーター

トーヴェ・ハウグスボー

萬屋健司(山口県立美術館学芸課長)

一宮文香(山口県立美術館学芸員)

森本陽香(名古屋市美術館主任学芸員)

橋口由依

森 万由子

詳細・申し込み https://www.ejrcf.or.jp/gallery/event.html#section01

安保美希
安保美希 編集者・ライター

音高を卒業後、北欧ノルウェーとフィンランドの音大でピアノを学び、厳しい寒さと日照時間の短い冬に強くなって帰国。最近はもっぱらオルガンにはまって足鍵盤に奮闘中。フルコン...

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