これを聴かねば損をする！ 2018年のクラシック音楽CDの頂点が決定

2018年度第56回レコード・アカデミー大賞に輝いたのはどのディスクだ!?　クラシック通の人にも、入門者にも、ぜひ聴いていただきたい3枚＋1枚です。「レコード芸術」本誌に先んじて、ONTOMOで授賞式の模様をレポート！

レポーター

ONTOMO編集部

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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撮影：編集部

2019年1月18日、神楽坂にある音楽之友社ホールにおいて行なわれた「2018年度第56回レコード・アカデミー賞授賞式」。ONTOMOも潜入取材を試みた。

レコード・アカデミー賞とは

音楽之友社主催による、日本のレコード会社から1年間のあいだに発売されたクラシック・レコード（『レコード芸術』1月号～12月号月評掲載分）の中から、全16の「部門賞」と、年間最優秀レコードであるレコード・アカデミー賞の「大賞」「大賞銀賞」「大賞銅賞」を選考委員の投票によって選定する。2018年度で第56回を数える、日本で最も歴史あるクラシック音楽賞のひとつである。

偉い人たちが集まるのか……と尻込みしていたが、蓋を開ければそこには音楽愛に溢れた人たちばかり。和やかな雰囲気のなかで音楽談義に花を咲かせていた。

今年の受賞者は？製作者たちの想いは？

今回はレポートとともに、大賞受賞作品のプレイリストを用意した。クラシック音楽の専門家たちが選び抜いた、名誉あるレコード・アカデミー賞の2018年受賞作品。つまり、今もっとも注目すべきアルバムを聴いてみてはいかがだろうか。

【大賞銅賞　オペラ部門】ドビュッシー：歌劇《ペレアスとメリザンド》全曲［LSOライヴ］

サイモン・ラトル指揮ロンドン交響楽団，マグダレーナ・コジェナー(Ms)クリスティアン・ゲルハーヘル(Br)ほか

銅賞に選ばれたのは、2018年に没後100年のアニバーサリーイヤーを迎えたドビュッシーのオペラ《ペレアスとメリザンド》。日本でも人気の指揮者サイモン・ラトルと、手兵のロンドン交響楽団。メリザンド役にはラトル夫人でもあるチェコのメゾ・ソプラノ歌手マグダレーナ・コジェナーという豪華なライブ録音。

【大賞銀賞　室内楽曲部門】ドビュッシー／最後の3つのソナタ集［ハルモニア・ムンディ・フランス］

イザベル・ファウスト（vn）ジャン=ギアン・ケラス（vc）アレクサンドル・メルニコフ（ｐ）ほか

銀賞にはピリオド楽器（作曲当時に演奏されていた楽器）による録音が選ばれた。

こちらもドビュッシーの作品、晩年に作曲した3つのソナタを集めた録音だ。「当時の楽器で演奏される“音”が非常にリアルで、曲の本質を見直させられた。ドビュッシーがやりたかったことを認識させられた」と語るのは2018年度・第56回レコード・アカデミー賞の選定委員長を務めた金子健志氏。

選定委員長、金子健志氏のスピーチ。

【特別部門　吹奏楽／管・打楽器】本堂誠／BARITONISM［CRYSTON］

本堂誠（バリトンサックス）羽石道代（ピアノ）

ここで嬉しいサプライズ。特別部門を受賞したバリトン・サクソフォン奏者の本堂誠さんが舞台に登場。J.S.バッハの無伴奏チェロ組曲第2番からプレリュードとクーラントを披露してくれた。会場は目の覚めるような素晴らしい演奏に熱い拍手を送った。

演奏前のスピーチでは「バリトン・サクソフォンという楽器の可能性を信じ、その魅力を伝えたいとリリースしたCDが評価されて嬉しい」と語った本堂誠さん。

【大賞　交響曲部門】マーラー：交響曲第6番《悲劇的》［ソニークラシカル］

テオドール・クルレンツィス指揮ムジカエテルナ

2017年度は「チャイコフスキー：交響曲第6番《悲愴》」で大賞を受賞した、テオドール・クルレンツィス指揮するピリオド楽器（作曲当時に演奏されていた楽器）のオーケストラ、ムジカエテルナが2冠を達成。

選定委員長の金子健志氏は「録音ならではの指揮者、オーケストラ、録音技術者それぞれが、ここはこうしなければならない！というこだわりが訴えかけきた」と語り、ソニー・ミュージックジャパンインターナショナルの代表、中武宣廣氏も「2年連続の大賞受賞をスタッフ一同喜んでいる。来月の日本初来日公演のチケットは既に完売。レコードで頂いた評価を実演で聴いていただける良い機会になる」と笑顔でスピーチした。