
聴衆の琴線に触れ、心で会話するような演奏を! 神楽坂ハッピー・サックス・アンサンブル


東京生まれの千葉県育ち。大学の文学部を卒業後、音楽之友社に入社、1991年から、若干の空白を挟み、『レコード芸術』編集部に所属、2007年より同誌編集長。13歳からク...
音楽之友社のある東京・神楽坂の秋の風物詩、「神楽坂まち飛びフェスタ」が今年も10月10日から11月3日まで、神楽坂通り一帯を中心に開催された。
1999年に始まったこのお祭りは今年で28年目を迎えたが、そのなかでも特に人気演目を集めているイベントのひとつが、2010年から続いているサクソフォン奏者・小串俊寿さん(東京音楽大学教授)とその門下生たちによる「神楽坂ハッピー・サックス・アンサンブル」の野外ステージである。今年も最終日である文化の日に、音楽之友社別館前テラスを舞台として、13時および14時30分開演の2つのステージが繰り広げられた。

前日は雨の降るぐずついた天候だったが、当日は青空が戻り、クラシックから吹奏楽の定番、ポップスやアニソンまで、広く親しまれているメロディが次々と演奏されてゆく。
今年演奏された曲目は以下の通り。第1部:《ブロックM》、《ジブリメドレー》、《マツケンサンバ》、《美女と野獣》、《ミッキーマウス・マーチ》、《オーメンズオブラブ》、《宝島》。第2部:《エレクトリカル・パレード》、《さんぽ》、《ぼよよん行進曲》、《モーツァルト・トリビュート》、《宝島》、《オーメンズオブラブ》、《ハッピーアニバーサリーサックス》。

5種類のサクソフォン(ソプラニーノ、ソプラノ、アルト、テナー、バリトン)を駆使した総勢15名のアンサンブルは、まるでオーケストラのよう。多彩な音色にあふれたゴージャスな音楽が神楽坂に響き渡ると、街ゆく人々が足を止め、たちまち熱心な聴衆と化してゆく。幼い子がお父さんにおんぶしてもらい、演奏に合わせて指揮をする、というような微笑ましい光景も見られた。
各ステージは大変な盛り上がりを見せ、聴衆からは歓声やアンコールの声も飛び交う。鳴りやまない拍手に応えて、《スーパーカリフラジリスティックイクスピアリドーシャス》など、アンコールも複数曲演奏され、路上イベントならではの親密な時間をたっぷり堪能することができた。

「テクニックはもちろん必要だが、こうした聴衆の琴線に触れるような、心で会話するような演奏を行なうことこそ、音楽の原点を再確認できる大切なこと。今日、演奏を聴いてくれた子どもたちのなかから、これをきっかけにサックスを始める子がひとりでも出てきてくれたら、これ以上嬉しいことはない」と語る小串さん。
年に一度、門下生たちが集まって結成されるこのアンサンブルは、彼らの同窓会も兼ねているとのことで、毎年、この日を楽しみにしているという。さまざまな分野で活躍している方々なので、この日にスケジュールを合わせるのは並大抵のことではないと思われるが、それでも小串さんを慕い、その活動に賛同しているメンバーたちは、来年の11月3日にも神楽坂の聴衆をおおいに楽しませてくれることだろう。

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