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2022.08.20
1万円で始めるオーディオ道 #2

気軽に楽しめるレコードプレーヤー選び 安くても意外な実力派揃いなんです

好きな音楽を好きな音で、お金をかけずに楽しみたい――そんな贅沢な願いにオーディオ暦40年の筆者が応えます。実はたった1つのアイテムからでもスタートできるオーディオ道を、ゆっくり気ままに歩いてみませんか?

澤村 信
澤村 信

中高校生の時にオーディオブームの洗礼を受け、それが高じて2000年以前の国産オーディオを中心に取り上げるオーディオ雑誌『ステレオ時代』の編集長に。お金をあまり使わない...

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レコード再開派も、レコード初心者も

2022年8月8日、オリビア・ニュートン=ジョンさんがお亡くなりになりました。私事で恐縮ですが、初めて買った洋楽のアルバム(LPレコード)は彼女の「水の中の妖精」でした。柄にもなくセンチメンタルな気分になって、久しぶりにレコードを引っ張り出して聴きたくなってしまいました。

もしかしたらみなさんも、たまに聴きたくなるレコードの1枚や2枚、お持ちなのではないでしょうか。最近は、レコード初心者も増えていますね。「レコードは聴きたいけどプレーヤーがない」なんていう人は、いっそ手頃なレコードプレーヤーを買ってみる、というのはいかがですか? もちろん連載のタイトルどおり約1万円(を少しオーバーしちゃいますが)で。最近は1万円前後でなかなか良いプレーヤーが手に入るのですよ。

ちなみに「中古」という選択肢もありますが、意外とハズレも多いので、今回はあえて新品で入手可能なものをご紹介したいと思います。今時の手頃なプレーヤーは、レコードをもう一度聴きたい再開派の方だけでなく、初心者の方にもオススメなのです。

※文中の価格は2022年8月現在のネット通販での参考価格です。

Bluetoothスピーカーすら不要。スピーカー内蔵の多機能モデル

以前、オーディオをかじったことのある人なら「プレーヤーだけ買っても、アンプもスピーカーもないし……」なんて二の足を踏む方もいらっしゃるでしょう。でも最近のプレーヤーにはBluetooth接続に対応しているモデルも多いのです。この場合、前回ご紹介したBluetoothスピーカーがあれば、アンプもスピーカーも必要ありません。

例えば、アイオン(ION audio)Premier LPは1万2000円前後で手に入るプレーヤーですが、一般的なアナログライン出力に加え、Bluetooth、ヘッドホン出力、USB端子、さらに内蔵スピーカーも備えていて、極端な話Bluetoothスピーカーすら不要です。

アイオンは2002年に誕生した新興ブランドですが、リーズナブルな価格とおしゃれなデザイン、そして確かな音質で、もはや定番と言って良いブランドです。

実際に使ってみると内蔵スピーカーがなかなか元気な音で、人気があるのも納得。ただしトーンアーム周りなどはプラスチックパーツが多く、若干不安な気分になります。

トーンアームというのは先端にレコード針が付いている振り子のようなパーツで、とくに支点部分は針を支える重要な部分ですので必要以上にしっかり作られていることが多いのです。Premier LPはこの支点部分がプラスチックでできていますが、もちろん不都合があるわけではありません。

むしろこれだけの多機能をこの価格で実現しているというのが驚きで、USBを使ってPCに繋げばそのままデジタル音源化も可能という何でもありのプレーヤーで、1台あるといろいろ遊べそうです。

デザインも洗練されていてオシャレなので、リビングにポンと置いてあっても違和感なく、手軽にレコードを聴くにはもってこいの1台です。

少しだけ本格的なプレーヤーと長く付き合うのもあり

ちょっと安っぽいものの、洗練されていてカッコ良いデザインのアイオンはオーディオというよりも雑貨に近い感覚。またどちらかというと手軽に聴くことに重点が置かれていて、将来的にちょっと良いスピーカーやシステムで使いたい、という人には不向きかもしれません。

そんな人にはこちらのAT-LP60XBTがオススメです。こちらはアイオンよりちょっと高いですが、それでも1万7000~8000円くらいで手に入ります。

オーディオテクニカは昔からレコード針(カートリッジ)を作っていたメーカーで、現在でもトップメーカーと言ってよいでしょう。その一方で手頃で確かな性能のプレーヤーも多くラインナップしています。

デザインはご覧の通り、ちょっとそっけない感じもしますが、本格的なプレーヤーのテイストをうまく盛り込んで作られています。

ただしアイオンは箱から出してすぐ使うことができましたが、こちらはちょっとした準備が必要です。

プラッターという回転する円盤部分は取り外されて梱包されているので、本体に乗せてプラッターにはめられているベルトを本体側のモーターに引っ掛けます。その後ターンテーブルシートを載せれば完成です。

ひと手間ではありますが、長く使っているとベルト交換の必要もあるので、一度組み立ててみれば交換も簡単にできると思います。アイオンとの最大の差はカートリッジの出来。専門メーカーだけあって音は本格的です。

なお、こちらもBluetoothには対応していますがスピーカーは内蔵されていません。ただし本格的なシステムと組み合わせるときに便利な「PHONO出力」を備えています。つまりこの先ちゃんとしたオーディオのシステムを組むことになったとしても、このプレーヤーをそのまま使うことができる、ステップアップ派にぴったりの1台なのです。

レコードで広がる音楽の楽しみ

レコードは現在でも使われているオーディオ・メディアの中でもっともプリミティブな音源です。針で溝をこすって音を出す、これだけのことなのに、なぜこんなに奥深い音がするのでしょうか。

そのレコードの魅力は、現在ではBluetoothという新しいデジタルデバイスのおかげで、これまでになく簡単に楽しめるようになっています。この機会にぜひレコードの世界に一歩踏み出してみませんか?

アイオン(ION audio)のPremier LPはスピーカーを内蔵しています。そのため(1)内蔵スピーカーで聴く(2)USBでPCと繋ぐ(3)Bluetoothスピーカーやイヤホンで聴く(4)ヘッドホン端子に繋いだヘッドホンで聴く(5)ライン出力でラジカセやコンポと繋ぐ(通常プレーヤーとアンプなどを繋ぐ場合、フォノイコライザーという機械が必要になりますが、Premier LPはフォノイコライザーを内蔵しているので、ラジカセなどにも直接繋ぐことができるのです)…という多様な使い方が可能なのです。
前回の原稿料で新しいBluetoothスピーカー、ソニーSRS-XB13を買ったので早速ペアリングしてみます。小さいのに凄い重低音! 持って歩けるので、リビングにあるプレーヤーの音をキッチンで聴く、とかもあり。もっとも内蔵スピーカーもなかなかの音なので、近くで聴く時はそれで十分。
こちらはオーディオテクニカのAT-LP60XBT。アイオンに比べそっけないルックスですが、存在感を主張しないところは好感が持てます。もちろんプラスチック主体のローコストな作りではありますが、分かりやすいチープさはなく、基本的な作りは普通のベルトドライブ(※1)・レコードプレーヤーと何ら変わりません。何と言ってもオーディオテクニカ製のVMカートリッジ(※2)が付いてくるのが嬉しい!

(※1)レコードプレーヤーのプラッターを回転させる方式はいろいろありますが、プラッターの真ん中にある突起(スピンドルといいます)がそのままモーターの主軸になっている「ダイレクト・ドライブ」と、モーターがゴムベルトを介してプラッターを回す「ベルト・ドライブ」のふたつが主流です。それぞれメリット、デメリットがありますが、とても長い話になりますので次の機会に。

(※2)カートリッジにもいくつかの方式がありますが、主流はMM(ムービング・マグネット)型とMC(ムービング・コイル)型です。VM型はオーディオテクニカが発明した独自のMM型進化系バリエーションになります。

前回ご紹介したドウシシャのSCR-B2(ラジカセ)とペアリングしてみます。音が70年代っぽくてオリビアに合ってます! このシステムならBluetooth接続でもカセットに録音することも可能で、オールドスクールな楽しみ方が味わえます。しかもステレオ感もバッチリ。
このAT-LP60XBT、発展性(拡張性)が高いのもオススメのポイント。Premier LPのところにも書きましたが、このクラスのレコードプレーヤーは、本来別に必要になるフォノイコライザーを内蔵していることが多いです。しかし一般的に内蔵のフォノイコライザーは簡易タイプなので、ステップアップするならフォノイコライザーにも凝りたいところ。AT-LP60XBTは内蔵フォノイコライザーを使わない「PHONO出力」が選べるので、性能の良い単体のフォノイコライザーや上級のアンプに内蔵されているフォノイコライザーを使うことができるのです。そうすれば音もグレードアップ。またデザイン的にも安っぽさがないので上級システムに組み込んでも違和感はありません。ご覧の通り、タンノイ(=ちょっと良いスピーカー)と合わせてもけっこうカッコ良いです!
澤村 信
澤村 信

中高校生の時にオーディオブームの洗礼を受け、それが高じて2000年以前の国産オーディオを中心に取り上げるオーディオ雑誌『ステレオ時代』の編集長に。お金をあまり使わない...

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