読みもの
2021.09.02
プログラムノートに引用も可能

幅広くクラシック曲を聴く糸口に! 柴田克彦『吹奏楽編曲されているクラシック名曲集』

バンドジャーナル
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1959年創刊の吹奏楽専門誌。毎月10日発売。吹奏楽の今を追い続けて60年超、学校の吹奏楽部の現場への取材やプロ奏者へのインタビューをはじめ、指導のノウハウ、楽器上達...

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吹奏楽コンクールでは数々の名演奏を生み出し、定期演奏会などでも華やかにプログラムを彩る役割を果たしてくれる「クラシック編曲(アレンジ)もの」。それらを作曲家とともに1冊にまとめた『吹奏楽編曲されているクラシック名曲集』(音楽之友社)が発売中だ。

筆者は、音楽ライター・評論家として活躍中の柴田克彦さん。国内外の有名オーケストラのプログラムノートの執筆、コンサートレビュー、インタビューなども数多く手掛け、吹奏楽にも造詣の深い筆者が、本書を執筆し終えて感じたのは「驚きと再発見」。

氏からのコメントをまず紹介しよう。

「もとは『バンドジャーナル』誌で連載をしていたものを書籍化していますが、今回改めて日本の吹奏楽界におけるクラシック曲のレパートリーを見直す、よい機会を得られたと感じています。

そのなかでやはり驚くのは、吹奏楽関係者の目の付けどころや探求心です。オーケストラのレパートリーでは滅多に演奏・上演されない作品も多いのですが、逆に『こんな面白い曲だったのか』など、加筆・修正にあたって全曲を聴き直しながら、本当にいろいろな再発見がありました。

吹奏楽のアレンジに向くのは管打楽器が活躍する作品で、それもまたクラシック曲の醍醐味の一つであると気づかされます。ぜひオーケストラ界の方々にも、レパートリーの視野を広げる参考として、またクラシック初心者や、昔に吹奏楽部だった方にも、本書が幅広くクラシック曲を聴く糸口の一つになってほしいと願っています」

また、この本をさっそく読んでいただいた吹奏楽部の先生からの声もお届けしたい。※いずれも「バンドジャーナル」8月号より抜粋

武蔵野音楽大学講師、岩倉高校校長補佐・吹奏楽部顧問の大滝 実先生より

作曲家一人ひとりにスポットを当て、さらに関連する作品も数多く紹介されている、いわば「クラシックと吹奏楽の架け橋」のような内容です。従来の日本においては、クラシックが上で吹奏楽が下といった風潮があったと記憶していますが、本書にはそのようなことはまったく感じられません。

また、クラシックファンにはあまり知られていませんが、吹奏楽愛好者にとっては有名なオーケストラ作品なども紹介されているところに好感を持ちました。

愛知県日進市立日進西中学校吹奏楽部顧問の大竹礼子先生より

本を開いてまず驚いたのは、その見やすさと情報量の多さです。じっくり読みたいけれど、なかなか本を読む時間がないという人も、知りたい情報をコンパクトに楽しく得ることができるのではないかと思います。

また、作曲家のエピソードや作品の背景などもとても読みやすく描かれているので、オーケストラの楽曲を演奏する際に参考になるのでは……と、さっそく生徒にも読んでもらったのですが、「この本を読んでると実際の曲が聴きたくなる~!」という感想が多く聞かれ、次の日には「先生、聴いてみた! 凄く素敵な曲だったよ~」という生徒がいたほどでした。

本書でまず登場する作曲陣は、R. シュトラウス、チャイコフスキー、ドビュッシー、ラヴェル、レスピーギ、ワーグナーの6人で、吹奏楽関係者なら思わず頷くラインナップ。また、紹介している265曲について、それぞれ演奏時間の目安、曲想、ソロや活躍する楽器などのキーワードが細かく記載されている(筆者が非常に苦労したところは実はここ)。また、テキストはプログラムノートに出典なしで引用OKなので、定期演奏会などのコンサートでぜひ活用を。

さらに、千原櫻子による作曲家のイラストも見どころの一つ。

紹介されている曲を作った頃の年齢の顔を描いたものが多いので、「髭がまだない若いブラームス」「枯れたリスト」など、音楽室にある肖像画とは違う作曲家も。むしろ「この作曲家ってこういう顔だったんだ~」という新発見のほうが多いかも? 全78人、眺めるだけでも楽しめるはず。

発売2カ月足らずで重版出来している好評の本書を、まずは公式サイトで立ち読みしてみよう。

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イラスト:千原櫻子
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1959年創刊の吹奏楽専門誌。毎月10日発売。吹奏楽の今を追い続けて60年超、学校の吹奏楽部の現場への取材やプロ奏者へのインタビューをはじめ、指導のノウハウ、楽器上達...

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