読みもの
2018.05.29
写真で語る音楽シーン Vol.7

本番前の「静謐の時間」 ジョナサン・ノットと東京交響楽団

「音楽」が聴こえてくる写真がある。移ろいゆく音楽の“モーメント”を捉えた写真たちが語りかけてくる、音楽シーン。

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東京交響楽団
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東京交響楽団 オーケストラ

1946年、第二次世界大戦によって中断された音楽文化の再建と、新しい舞台音楽の公演を目標に「東宝交響楽団」として創立。1951年に「東京交響楽団」に改称し、現在に至る...

写真:池上直哉/東響

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ジョナサン・ノット(指揮者)

音楽は、指揮棒が振り下ろされた瞬間ではなく、そのずっと前から始まっている。

東京交響楽団の2018年シーズン開幕は、ジョナサン・ノット指揮による、マーラー「交響曲第10番 アダージョ」&ブルックナー「交響曲第9番」という未完の2曲。4月14日サントリーホールでの第659回定期演奏会はNHKによる収録も入った。ノットが監督に就任して以来はじめてのテレビ収録に、楽団員も気合が入る。

1度演奏が始まったら、後には戻れない。
指揮台に上る前に舞台袖で集中するノットの姿は、凪いだ海のように静かだ。

演奏会はブラボーの嵐。ノット監督にはソロ・カーテンコールも起こった。日本のオーケストラの定期演奏会で、ソロカーテンコールは非常に珍しい光景だ。

観客を熱狂させる演奏は、静謐の時間から生まれる。

© 池上直哉/東響 2018年シーズン開幕。第659回定期演奏会(サントリーホール)でのジョナサン・ノット
© 池上直哉/東響 2018年シーズン開幕。第659回定期演奏会(サントリーホール)でのジョナサン・ノット
© 平舘平/東響 翌日15日、ミューザ川崎での川崎定期演奏会第65回公演でもソロ・カーテンコールが起こった。日本の定期演奏会でソロ・カーテンコールは珍しい。
© 平舘平/東響 翌日15日、ミューザ川崎での川崎定期演奏会第65回公演でもソロ・カーテンコールが起こった。日本の定期演奏会でソロ・カーテンコールは珍しい。
ジョナサン・ノット(指揮者)

ジョナサン・ノットは2011年10月定期/川崎定期演奏会におけるラヴェル「ダフニスとクロエ(全曲)」などを指揮して東京交響楽団にデビュー。この共演が決定的となり、翌2012年10月には次期音楽監督の就任を発表。2014年度シーズンより東京交響楽団第3代音楽監督を務める。2015年度は、出演した全ての定期演奏会が批評家によるコンサート・ベストテン(「音楽の友」誌上)で多くの票を集めるなど、今最も目が離せない指揮者である。

1962年イギリス生まれ。ケンブリッジ大学で音楽を専攻し、マンチェスターのロイヤル・ノーザン・カレッジでは声楽とフルートを学び、その後ロンドンで指揮を学んだ。ドイツのフランクフルト歌劇場とヴィースバーデン・ヘッセン州立劇場で指揮者としてのキャリアをスタートし、オペラ作品に数多く取り組む。1997年~2002年ルツェルン交響楽団首席指揮者兼ルツェルン劇場音楽監督、2000年~2003年アンサンブル・アンテルコンタンポラン音楽監督(2004年~2006年は客演指揮者)、2000年~2016年ドイツ・バンベルク交響楽団首席指揮者。2017年1月にスイス・ロマンド管弦楽団の音楽監督に就任した。

2010年、バンベルク響とのCD「マーラー交響曲第9番」を世界で権威あるフランスのMidem音楽賞最優秀交響曲・管弦楽作品部門賞受賞へ導き、オーケストラの名を一躍広めた。古典から現代曲まで幅広いレパートリーと抜群のプログラミングセンスを持つノットは、その多岐にわたる活躍が評価され、2009年バイエルン文化賞が贈られたほか、2016年7月にバンベルク大聖堂にて開催された同響とのラストコンサートでは、大司教より功労勲章が授与された。

 

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