精神的な相性が良すぎて昔の恋人が忘れられない！ スペインの歌曲で踏み越える

ご相談ありがとうございます。短い文章の中に、ご相談者様の切実で深い思いがあるような気がして、私なりに、想像力も駆使しつつ、じっくり答えさせていただきたと思います。

人が、「あの人が忘れられない」「あの人に会いたい」「あの人は特別」と、思ったり、言ったりする場合、必ずその比較対象として「忘れられる誰か」「会いたくない誰か」「特別ではない誰か」がいます。本人が意識している、していないに関わらず。

そして、その裏側の方にいる「誰か」が、実は重要人物だったりすることもあります。本人の好む、好まざるに関わらず！

つまり、逆の立場から見れば、元恋人や恋人に「あなたが忘れられないの」「あなたに会いたいな」「あなたは特別だよ」と言われたら、本当はほかに、忘れなければいけなかったり、会いたいけど伝えられなかったり、もっと特別になる可能性がある「誰か」がいるんじゃないかな？ と想像しておくくらいが正解かもよ、ということです。

あ!! すみません！ 逆サイドは良いとして、相談者様の立場に戻りましょう！

さて、相談者様は更に「精神的な相性が良くて忘れられません」とおっしゃっています。まったく悪いことでもなんでもありませんが、相談者様にとって、「精神的な相性」という条件付きの相手だということです。それ以外の条件や「条件なし」で現在、または未来の相手をすでに見つけていたり、少なくとも、見つけたいと思っているのではないでしょうか？

または、そのすでに見つけている「精神的」以外の条件が良い相手の方を、本当は忘れたいと思っているのではありませんか？ そこは想像に頼る以外は無いのですが……。

私が相談者様に処方しますのは、スペインの作曲家、オブラドルスの「心よ、なぜ」です。

スペインやヨーロッパのラテン文化圏に古く伝わる民謡の詩と旋律を基にした、全4集からなる『スペイン古典歌曲集』第1集の3曲目であるこの曲は、相談者様のご相談内容と同じくらいに短く書かれた曲ですが、やはり想像力を掻き立てる趣深さと、心の痛みが爽やかに表現された、軽やかな魅力があります。

この曲の中で自分の心に語りかける人物は、なんらかの形で誰かに所有されていて、その相手をどう思っているのかも想像するしかありませんが、でも、いずれにしても、心はなぜか眠らずに彷徨っているのです。

現代では、誰かがほかの誰かに所有される、という状況はあってはいけないことですし、もっと自由に、身体も心も一緒に、好きなだけ目覚めていていいはず！

「忘れる」または「乗り越える」ことを希望されていますが、もっともっと柔軟に、「踏み越える」でも「飛び去る」でも……思うままに人生の道を行き交ってみてはいかがでしょう？