イベント
2022.03.18
ミューザ川崎シンフォニーホール/春の特集「ホールの1年間」

気軽な演奏会や夏のフェスタでオーケストラを聴く!〜ミューザ川崎シンフォニーホール

川崎駅からすぐの立地にあるミューザ川崎シンフォニーホールは、「音楽のまち・かわさき」のシンボルとして、2004年にオープン。スイス製のパイプオルガンを備えた1,997席の音楽専用ホールは、サイモン・ラトル、マリス・ヤンソンスら、名だたるマエストロがその音響を絶賛しています。2022年の「おすすめメニュー」を聞きました。

聞き手・文
池田卓夫
聞き手・文
池田卓夫 音楽ジャーナリスト@いけたく本舗

1958年東京都生まれ。81年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業、(株)日本経済新聞社へ記者として入社。企業や株式相場の取材を担当、88~91年のフランクフルト支...

2017年11月23日ベルリン・フィル公演の終演後、お客さまに囲まれているサイモン・ラトル(撮影:青柳聡)

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ハーフサイズの「モーツァルト・マチネ」をランチ前に

池田 ミューザ川崎シンフォニーホールは、川崎市とフランチャイズ契約した東京交響楽団(以下、東響)の本拠地でもあり、オーケストラ音楽の殿堂のイメージが強く、数多くのメニューをそろえています。初めて訪れる人は、どこからアプローチしていいのか、迷うかもしれません。

山本 クラシック音楽のビギナーにはまず、とっつきやすいモーツァルト・マチネをお勧めします。週末の午前11時から休憩なしの約1時間、トップクラスの指揮者とソリストが東響と共演、モーツァルトを中心に上質の演奏を披露します。

正午過ぎの終演後は、ランチ、ショッピング……と、思い思いの楽しみ方が可能です。

いつもは年4回ですが、2022年は川崎市とモーツァルトが生まれた街、オーストリアのザルツブルク市の友好都市提携30周年に当たり、年明けの2023年1月21日に1公演を追加します。川瀬賢太郎さんの指揮、バリトンの宮本益光さんが演出を兼ねるモーツァルト・シンガーズ・ジャパンの出演で、モーツァルト最後のオペラ《魔笛》のハイライトもお届けします。

2011年の東日本大震災でホールが被災、長期休館したときは、ザルツブルク音楽祭がチャリティーコンサートを開き、ミューザに多額の義援金を送ってくださいました。

ミューザ川崎シンフォニーホール事業企画担当課長、山本浩さん。©️ヒダキトモコ

聴きやすい「名曲全集」など東京交響楽団が要

池田 ハーフサイズの「モーツァルト・マチネ」でクラシック音楽の魅力に目覚め、「今度はフルサイズのコンサートを聴いてみたい」と思うお客さまには、何を薦めますか?

山本 東響とミューザが共催する年10回の「名曲全集です。名曲のタイトルが示すとおり、フルサイズでも聴きやすい作品が並び、素晴らしい指揮者とソリストが出演します。

私が個人的にお勧めしたいのは、1回券でも3,000円で舞台の後方のC席に座り、オーケストラのメンバーになったような気分で指揮者を眺め、全身で音楽を体験する聴き方です。割安な席で数多く聴くうち、音楽が体内に蓄積されて発酵し、作曲家のイメージなどもつかみやすくなりますよ。

池田 東響は音楽監督のイギリス人ジョナサン・ノット、正指揮者でアメリカから“逆輸入”の原田慶太楼、桂冠指揮者のベテラン秋山和慶……と、指揮チームの顔ぶれも魅力的ですね。

対談した音楽ジャーナリストの池田卓夫さん。©️ヒダキトモコ

山本 1964年に常任指揮者に就任して以来60年近く東響を支えてきた秋山さんは、ミューザ川崎の開館準備段階からホールアドバイザーを務め、北米で長く活躍してきた経験から「クラシックとポピュラーは両輪、ジャンル分けはいらない」と強調します。

毎年1回ホール主催、秋山さん指揮で続けてきたオーケストラで楽しむ映画音楽」も13回目。4月9日に、アメリカ代表として生誕90年のジョン・ウィリアムズと日本代表として久石譲を特集します(※すでに全席完売)

秋山和慶 指揮・東京交響楽団「出張サマーミューザ@しんゆり!」(2021年8月1日/昭和音楽大学テアトロ・ジーリオ・ショウワ)

山本 ノットさんは、このたび晴れて在留カードを取得したので、「ボクは川崎在住」と言うほど街に溶け込んでおり、2014年の監督就任からゆっくりと時間をかけて楽員、聴衆それぞれとの信頼関係を築いてきました。

音楽監督ジョナサン・ノット指揮・東京交響楽団「フェスタサマーミューザKAWASAKI 2021」オープニングコンサート(2021年7月22日)

山本 原田さんは、誰とでもすぐ仲良くなるマジックの持ち主。楽員にも瞬間的に強い影響を与え、魅力的な音楽を引き出します。特別支援学校の子どもたちも視野に入れたダイバーシティ志向の教育プログラムといった社会的視点をしっかりと持ち、日本人作曲家の紹介にも熱心、ミューザ川崎のインフルエンサーになりつつあります。

原田慶太楼 指揮・東京交響楽団フィナーレコンサート
吉松 隆 / 交響曲第2番「地球にて」から、かわさき=ドレイク・ミュージック アンサンブル / かわさき組曲 ~アイーダによる (世界初演)

オーケストラの祭典「フェスタ サマーミューザKAWASAKI」やジャズなど、来シーズンも盛りだくさん!

池田 東響の演奏でクラシック音楽の基盤ができたら、次は夏のフェスタに出かけ、さまざまなオーケストラの個性を聴き比べる楽しみが待っています。

山本 「フェスタサマーミューザKAWASAKI」は、オープン翌年の2005年に始めました。首都圏だけでなく、仙台フィルハーモニー管弦楽団やオーケストラ・アンサンブル金沢、群馬交響楽団、京都市交響楽団など、これまでも他地域のオーケストラも随時参加してきました。

回を重ねるにつれ、各オーケストラが短期決戦で演奏能力だけでなく個性や新機軸も競い合う場と化してきました。若手や初来日などオーケストラ側の「一度、この指揮者と演奏したい」という希望を、ミューザ川崎が夏のフェスタ枠でかなえる例も多いです。

2022年のプログラム詳細は、3月28日に発表します(公式サイトにて)。市制60周年の1984年に市民の歌「好きです かわさき 愛の街」を作曲、今年が生誕90周年の山本直純、昨年亡くなったクロスオーバーの鬼才チック・コリア両者へのトリビュート・プログラムなど、盛りだくさんですよ。ジャズテイストな公演も3つご用意しました。ミューザ川崎はクラシック、ジャズそれぞれのファンがボーダレスに交わる場でもあってほしいと願います。

「フェスタ サマーミューザKAWASAKI 2021」より渡辺香津美 KW 50「トワイライト・ジャム」 (2021年7月24日)

ミューザ川崎シンフォニーホール

[運営]川崎市文化財団グループ

[座席数]1997席(車いす席 10席)

[オープン]2004年

[住所]〒212-8557 神奈川県川崎市幸区大宮町1310

[問い合わせ]Tel.044-520-0200

https://www.kawasaki-sym-hall.jp/

聞き手・文
池田卓夫
聞き手・文
池田卓夫 音楽ジャーナリスト@いけたく本舗

1958年東京都生まれ。81年に早稲田大学政治経済学部政治学科を卒業、(株)日本経済新聞社へ記者として入社。企業や株式相場の取材を担当、88~91年のフランクフルト支...

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