グレトリーのオペラ《リショール獅子心王》のロマンス〈熱く燃える心〉による8つの変奏曲——バレエ鑑賞で聴きとった旋律を変奏曲に
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
バレエ鑑賞で聴きとった旋律を変奏曲に グレトリーのオペラ《リショール獅子心王》のロマンス〈熱く燃える心〉による8つの変奏曲
1796年から翌97年にかけて作曲されたと推定されている。ベルギー生まれのアンドレ・エルネスト・モデスト・グレトリー(1741~1813)が、J.M.セデーヌの台本に作曲した3幕のオペラ《リショール獅子親王》は、1784年にパリで初演され大変な人気を博していた。
ウィーン初演は1788年1月7日でベートーヴェンがウィーンに住む前であり、再演は99年6月であるので、この変奏曲を書いた時点でベートーヴェンはこのオペラは観ていなかった。ところが、1795年2月2日にウィーンのケルントナートーア劇場で上演されたヨーゼフ・ヴァイグル(ウィーンの指揮者、作曲家)のバレエ《リッカルド・コル・ディ・レオーネ(リショール獅子親王)》の中にグレトリーの「ロマンス」が引用されていたので、恐らく、ベートーヴェンはこのバレエ音楽の主題を用いたと思われる。楽譜を見たのではなく、おそらく聴きとって書いた主題とも考えられる。
4分の3拍子、4声体による単純なリズムのコラール風の32小節主題。第4変奏がハ短調のミノーレ(短調変奏)となっている。
解説:平野昭
鑑賞していたバレエの旋律を聴きとって変奏曲にしたとは、ベートーヴェンが常に創作意欲にあふれていたことがわかりますね。
グレトリーのオペラ《リショール獅子心王》のロマンス〈熱く燃える心〉による8つの変奏曲WoO72
作曲年代:1796~97年(ベートーヴェン26~27歳)
出版:1798年11月
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