レポート
2026.08.12
海外クラシックNEWS~from イタリア

ムーティの功績を記念する銀貨がイタリアで発行

海外のクラシック界のニュースやコンサート、オペラ公演の様子を、現地在住の筆者がいちはやくお届け。今回は7月のイタリアの音楽シーンから、2つのニュースをお届けします。

取材・文
野田和哉 Kazuya Noda
取材・文
野田和哉 Kazuya Noda

東京生まれ。明治大学文学部を卒業後、1983年からイタリア在住、ピアチェンツァのG・ニコリーニ音楽院声楽科を卒業。30年以上前に『音楽の友』への執筆を始め、現在にいた...

音楽の友 編集部
音楽の友 編集部 月刊誌

1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...

ムーティの肖像を用いた銀貨

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現存するイタリアが世界に誇る音楽家といえば、指揮者のリッカルド・ムーティはまちがいなくその最有力候補といってよいだろう。このほど、彼の功績を記念する硬貨が発行された。

7月15日にイタリア財務省造幣局が正式に発表したところによると、「単に彼の伝説的キャリアを祝うだけでなく、真の文化的アイデンティティの担い手に対しての認定として」発行するという。

3ユーロ銀貨で、純度は92.5パーセント。デザインは、表に彼の指揮姿、裏に彼の手とその背景に渦のような模様を配し、彼によって紡ぎだされる音の世界を表している。いずれもムーティの実際の姿を撮影した写真から起こしたデザインで、その顔と特徴的なジェスチャーから見てすぐにムーティとわかる。

この銀貨は財務省が発行する「著名なイタリア人」シリーズの一環ということで、彼のほかにもこのような栄誉を与えられたイタリア人はいるのだろうが、筆者はこのような記念硬貨やメダルにはあまり関心がないので、詳しいことは知らない。

ただ、筆者の手元にはジュゼッペ・ヴェルディの肖像を用いた2ユーロ硬貨があり、珍しいので保存している。かつてはヴェルディの肖像画が載った1000リラ紙幣というのがあったが、これは現在コレクターの間では結構高い値がつけられているらしい。この銀貨もやがてコレクターの垂涎の的になるのだろうか。

おりしもユーロの新紙幣では、ベートーヴェンやマリア・カラスの肖像が使われるという話があり、やがてムーティも紙幣になるのだろうか。

フェニーチェ劇場の合唱指揮者が交代

エレナ・ピエリーニ © Fenice di Venezia
9月からフェニーチェ劇場の合唱指揮者に就任するエレナ・ピエリーニ © Fenice di Venezia

ヴェネツィアのフェニーチェ劇場の次期音楽監督として指名されていたベアトリーチェ・ヴェネツィが、就任する前に解任されるという異常事態になっており、いまもって誰が音楽監督になるのか不明のままだ。そういう状況のなか、もう一件の人事をめぐって問題が起こりそうだ。

今シーズンの終了をもって任期満了を迎える合唱指揮者アルフォンソ・カイアーニの後任として、9月からエレナ・ピエリーニが就任するという発表があった。ところがこの人選をめぐって、合唱団の二つの労働組合の一つが「われわれになんの相談もなかった」として反発しているという。彼らはカイアーニの契約延長を希望しており、それについて劇場側との意見交換等を求めているようだが、もう一方の組合は「合唱指揮者の人選に合唱団が関与することはもともと規定に定められていない」として、この交代に異を唱えない姿勢を見せている。この点においてヴェネツィの件とは状況が大きく異なるわけだが、報に接した者としては、「またか」という印象はぬぐえない。

今年9月から就任予定のピエリーニはフィレンツェ出身、2017年からオーストリアのリンツの劇場で合唱指揮者を務める。イタリアの劇場での活動は今回が初めてではなく、サルデーニャ島カリアリの劇場で合唱指揮を務めた。ヴェネツィアでの初仕事は、今年9月にマリブラン劇場でレオンカヴァッロ《道化師》の合唱を指揮する予定で、公演の指揮はダニエレ・カッレガーリ。

退任するカイアーニはどこに行くのかというと、南イタリアのバーリにあるペトゥルッツェッリ劇場の合唱指揮者に就任することになっている。

来シーズンのフェニーチェ劇場のプログラムについては、新制作だけをここで紹介したい。開幕11月13日にジョルダーノ《フェドーラ》、来年2月にフンパーディンク《ヘンゼルとグレーテル》、6月にアントニオ・スマレーリャ《イストリアの結婚式》、9月にヘンデル《パルテノペ》、続いてベッリーニ《ノルマ》が予定されている。そのほか、新規ではないが注目したいのは、シーズン最後の演目となるチレア《アドリアーナ・ルクヴルール》だろうか。

取材・文
野田和哉 Kazuya Noda
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野田和哉 Kazuya Noda

東京生まれ。明治大学文学部を卒業後、1983年からイタリア在住、ピアチェンツァのG・ニコリーニ音楽院声楽科を卒業。30年以上前に『音楽の友』への執筆を始め、現在にいた...

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