読みもの
2020.07.09
曲名のナゾ vol.1

ハイドン《驚愕》〜清々しいネタバレ、観客がびっくりするシンフォニー

飯尾洋一
飯尾洋一 音楽ライター・編集者

音楽ジャーナリスト。都内在住。著書に『はじめてのクラシック マンガで教養』[監修・執筆](朝日新聞出版)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『R40のクラシッ...

ハイドン/交響曲第94番「驚愕」より第二楽章

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曲名でネタバレはどこまで許されるのか。ついそんなことを思ってしまうのが、ハイドンの交響曲第94番《驚愕》だ。別名「びっくりシンフォニー」。実のところ、今やだれもびっくりしない「びっくりシンフォニー」になってしまったのだが。

問題の楽章は第2楽章。冒頭主題が弦楽器で静かに奏でられる。一度目は静かに。二度目はさらに静かに。が、二度目のおしまいの一音は全員で「ジャン!」と強奏する。うとうとしかけていた聴衆も驚いて目を覚ます、という仕掛けだ。

第2楽章の仕掛けの部分。

あまりに狙いがうまく行き過ぎて、付いたニックネームが《驚愕》。小説の帯で「衝撃の結末! 驚きの大どんでん返し!」などと書かれているのと同じくらい、清々しいネタバレ感がある。今やこの仕掛けで驚く人はほとんどいない。

指揮者独自のアイディアが採用されることもある。マルク・ミンコフスキはこの場所であえて音を出さずに沈黙したり、あるいは楽員に「ワッ!」と絶叫させたりしている。これは本当にびっくりさせられた。ほかにもなんとか聴衆を驚かせようと、この場所で奇抜なアイディアを披露する指揮者たちを見てきた。求む、斬新なアイディア。

ハイドン/交響曲第94番《驚愕》第2楽章(マルク・ミンコフスキ指揮、グルノーブル・ルーヴル宮音楽隊)

飯尾洋一
飯尾洋一 音楽ライター・編集者

音楽ジャーナリスト。都内在住。著書に『はじめてのクラシック マンガで教養』[監修・執筆](朝日新聞出版)、『クラシック音楽のトリセツ』(SB新書)、『R40のクラシッ...

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