
名優ジャン・レノが自らを語り、演じ、歌う──自叙伝的舞台を東京で創作し世界初演!

映画『レオン』などで知られる俳優ジャン・レノが、2026年5月10日(日)から24日(日)にかけて、東京芸術劇場 シアターウエストで自叙伝的舞台作品『らくだ』を上演する。世界初演となる東京公演を皮切りに、全国11都市での上演も決定している。

東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
『らくだ』は、ジャン・レノの数々の人生の重みを背負ってきた歩みを辿る、一人舞台(ソロパフォーマンス)である。彼の人生に深い影響を刻んだ出来事を、出演してきた映画の記憶と重ね合わせながら、ジャン・レノが台本を書き、ジャン・レノ自らが歌い、そこにピアノの演奏が重なって物語が進んでいく。スクリーンでは体感できない、名優ジャン・レノの芸術性に触れるスペシャルな舞台。
ジャン・レノは、モロッコのカサブランカでスペイン人の両親のもとに生まれ、フランスで育った。その後、アメリカへと渡る。
国際的に高い評価を受ける映画スターの成功の裏側に秘められた真実が、スクリーンを通してではなく、生身の人間が舞台に立つ演劇として、日本で創作・上演される。

ジャン・レノは、国際的に高い評価を受けるフランスの俳優である。モロッコ・カサブランカにてスペイン人の両親のもとに生まれ、フランスで育つ。舞台俳優としてキャリアを開始し、その後、映画監督リュック・ベッソンとの長年にわたる協働により国際的な知名度を確立した。代表作には『レオン』『ニキータ』『グラン・ブルー』などがある。フランス映画とハリウッド双方で活躍し、『WASABI』『ミッション:インポッシブル』『RONIN』『GODZILLA ゴジラ』『ピンク・パンサー』ほか、多彩なジャンルの作品に出演。深みのある声と力強い存在感、抑制の効いた感情表現により、世界的に最も認知され、信頼を集める俳優の一人として確固たる地位を築いている。近年は小説『Emma(エマ)』を発表し、同作は16言語に翻訳され、日本語版も刊行された。あわせて、国際的な社会貢献活動にも積極的に取り組んでおり、日本では非営利団体「ノーベル・サスティナブル子供親善大使」と「ユナイテッド・ワールド・スクールズ」をサポートしている。
演出を手がけるのは、フランス演劇界を牽引するラディスラス・ショラー。2024年にシャトレ座で『レ・ミゼラブル』を演出し、翌年のモリエール賞(ミュージカル部門)を受賞。東京芸術劇場では、フランスの小説家・劇作家フロリアン・ゼレールの三部作『Le Pere 父』(2019年)、『Le Fils 息子』(2021、2024年)、『La Mere 母』(2024年)の演出を担当。 2025年、橋爪功が主演したゼレールの『飛び立つ前に』の日本初演で成功を収めた。

1975年、フランス・サンテティエンヌ生まれ。演出家、映画監督。マルセイユで俳優としてキャリアをスタートし、マルセイユ国立劇場ラ・クリエで演出助手を務めたのち、ボーヴェ劇場でボーマルシェやアヌイ作品を手がけ注目を集める。 2009年、ピエール・レスキュールの招きによりマリニー劇場でイスラエル・ホロヴィッツ作『とても親愛なるマティルド』を演出。その後も話題作を次々と発表し、『Résiste(レジスト)』『Oliver Twist(オリヴァー・ツイスト)』でモリエール賞を受賞。 日本では東京芸術劇場にて、フロリアン・ゼレール作『Le Père(父)』『La Mère(母)』『Le Fils(息子)』『飛び立つ前に』を演出し、高い評価を得る。 さらに、2023年の『モリエール・アーバン・オペラ』、2024年の『レ・ミゼラブル』でも大きな反響を呼ぶなど、現代劇からミュージカル、映画まで幅広く活躍。現代フランス演劇界を代表する演出家の一人である。 『モリエール・アーバン・オペラ』は中国でも上演され、今後はカナダ・ケベックにて本演出による『レ・ミゼラブル』の上演が予定されている。
ジャン・レノの歌と語りを支えるピアノを演奏するのは、作曲家・編曲家としても活躍するフランス出身の音楽家、パブロ・ランティ。

音楽家、作曲家、編曲家。 音楽家の家系に生まれ、幼少期よりピアノを学ぶ。 ライブ、ツアー、テレビ番組など多様な現場で活動し、これまでにエド・シーラン、ヴィアンネ、エロディ・フレジェ、ザジらと共演。 2023年より始動したルノーの大規模ツアーにも参加している。 また、テレビドキュメンタリーや広告音楽の分野でも作曲を手がけ、M6、Canal+、Adidas などのプロジェクトに携わる。 演劇作品の音楽制作にも積極的に取り組み、イブラヒム・マーロフ、ジャン=ポール・ルーヴ、ジョーイ・スターらとコラボレーションを重ねてきた。 パフォーマンスと作曲を自在に行き来し、ジャンルやフォーマットを超えて活躍するその活動は、現代的で柔軟な音楽表現として高く評価されている。
『らくだ』は、3人のフランス人が日本人スタッフと共同制作し、東京から文化を発信していく国際プロジェクトとなる。
軌跡を語るため、はじめて挑む一人舞台
ジャン・レノは、自身の新たなプロジェクトについて演出家のショラーに、こう話したという。
「これまでやったことのないことに挑戦してみたい。自分で書いたテキストを人前で語ってみたい。自分の人生や歩みを人々に語ってみたい。また、一人で舞台に立ってみたい。そして舞台の上で歌ってみたい」
ショラーは、これほどのキャリアを築き上げてきた俳優が、一人舞台に挑もうとする姿に、強い勇気を感じ、一緒に創作したいと思ったのだそう。
ラディスラス・ショラー 自分でテキストを書いて、一人芝居で語って、歌も歌う。今回ジャンが挑むことは、ある意味リスクに満ちています。
ジャン・レノ なぜ、今、この挑戦をするのか。それは、自分の子どもたちや家族、これまでの仕事を愛してくれた人々に対して、映画の中ではなく、舞台に立って、これまでの軌跡を語るため。そして、子どもたちに「お前たちはここから来たんだよ」と伝えるためです。私の子どもたちも、東京でこの舞台を見に来ます。
私の職業は、演じること。映画の役は、どれも私そのものではなく、誰か他の人間でした。私自身を語ったことはありません。
私は、自分の祖父の人生をよく知らないのです。モロッコに亡命した私の父は、あまり多くを語らない寡黙な人で、過去のことを語りませんでした。『らくだ』を上演するアイデアが浮かび始めた5~6年前に、祖父がスペインのアンダルシアで貴族のために馬の世話をしていたという事実を知りました。
「ぼくの人生はらくだのよう」
タイトルの「らくだ」について、「僕の人生はらくだのよう」とジャン・レノは語る。そのらくだは、彼の人生において色んなものを運び、背負ってきた。
ジャン 家族、それから苦しみ、孤独も背中に乗せてきました。私が演じてきた役の多くは、孤独を抱える人物でした。不思議なことですが、らくだも私も孤独な存在なのです。

ある日、立ち止まって自分に問いかけました。「自分の内なる動物は何だろう?」と。それは明白でした。らくだのリズム、荷物や人を運ぶという事実、苦難に耐える強さ、そしてゆっくり進むということ。私という人間は、決して速くはありません。鷲のようではなく、ゆっくりと進み、反芻する人間です。どこに足を踏み出すかをじっと見極めて観察する。「自分の中にいるのはらくだなのだ」と思いました。
音楽が、ジャン・レノの語りに深いインスピレーションを与える
ジャン この物語を書いていたとき、複数のキャラクターやシチュエーションがあり、音楽や歌があれば、語りにより深いインスピレーションを与えられるのではと考えました。歌が入ることで一度、感情を外に逃がして、お芝居にリズムが生まれたりアクセントを与えてくれる。そうして、8つの歌が生まれました。
母のこと、父のこと、さまざまな場面を語りますが、音楽があるおかげで、ノスタルジーいっぱいのところから、歌によってちょっと息抜きをして、そのときの精神状態から次のシーンに行くことができるからです。
パブロ・ランティ この作品は、歌われる楽曲もジャンが書いたテキストも素晴らしい。ピアノはジャンの歌の伴奏だけでなく、芝居の感情や感動を表したり語られている時代を表現したりするために、作品の始まりから終わりまでピアノの音は存在しています。

ラディスラス この作品は、ジャン・レノが舞台で自分の人生をただ語っていると思われるかもしれないですが、ある場面では小さなミュージカルのように、歌を通して物語が語られます。
日本で創作し初演する
俳優としての原点へ立ち返るため、母国を離れ、自分のすべてを注ぎ込み、言語も文化も異なる日本で舞台に立つジャン・レノ。
3人のフランス人が出逢い、「らくだ」の創作の場として選んだのは日本だった。築いてきたキャリアや名誉から離れ、素の自分で舞台を作りたいというピュアな気持ちが、日本へと向かわせたのだという。
ジャン 私は日本と四半世紀にわたる精神的な絆があります。「私は本当は何者なのか」「どうやってここまで来たのか」を日本で語りたいと思ったのです。3年前に来日した際、「自分が何者であるかを伝えるためにここに来なければ」と心に決めたのです。
日本は私の人生の一部ですから、劇中では、日本について語られる場面もあります。
舞台を選んだ理由について
ジャン 「演劇」を選ぶのは、私にとって明白なことでした。自分で書いた『らくだ』という物語を、自分自身で語りたいと思いました。撮影して映画を世界中に送り出して、自分がそこにいないという形は思い浮かばなかった。実際そうすることもできたでしょうが、それでは『らくだ』とは呼べなかったでしょう。やっぱり、私は舞台(演劇)から来た人間なんです。
この作品のなかに「舞台から来た」という歌が登場するのですが、映画『グラン・ブルー』の成功のあと、自分のキャリアのなかに空白期間があったんです。その時、フランスの地方の劇場で舞台に立って、もう一度、初心に帰るという経験をしました。これは作品のなかでも語られていますが、常に「自分はどこから来たのか」ということへのリスペクトとして、(映画ではなく)舞台なのです。
ポスターに載っている俳優ではなく、生身の人間として、皆さんと通じ合う一人の人間として見てほしいのです。自惚れに聞こえるかもしれませんが、これは私の根底にある想いです。自分を美化するための物語ではなく、皆さんと対話するための物語です。
人生には、喜びも悲しみもあります。しかし、他者との出会いも重要です。『らくだ』は私一人の物語ではなく、人生に登場した人々との出会いも切り取っています。
ジャン・レノ

このプロジェクトは、東京で創作され、日本全国、そして世界へ発信していく。大かりな装置に頼るのではなく、ジャン・レノという一人の人間が誠実に生きてきた姿を、文化・言語を超えて観る者の心にどう届けられるか。その可能性に挑むのだという。
東京公演は、特別協賛の「獺祭」による『らくだ』オリジナルボトルが用意され、来場者に渡される予定。

作・出演:ジャン・レノ
ピアノ:パブロ・ランティ
演出: ラディスラス・ショラー
日程: 2026年5月10日(日)~24日(日) 東京芸術劇場 シアターウエスト(東京)
東京公演の他、富山・兵庫・静岡・宮城・石川・高知・福岡・山口・京都・愛知・岡山での全国11公演開催予定。
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