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2022.08.07
9月4日~11日開催、細川俊夫が音楽監督の現代音楽をメインとした国際音楽祭

武生国際音楽祭2022 今年は西洋音楽の根幹をなす弦楽四重奏のいまを名手の演奏で

古い歴史と文化を誇る福井県の武生市(現・越前市)で、1990年に産声を上げた武生音楽祭。「世界から武生へ、武生から世界へ」をスローガンに、海外から演奏家や作曲家を招き、現代(いま)を映し出す作品を30年以上にわたり発信し続けてきました。

世界的な作曲家の細川俊夫が音楽監督を務めることでも知られ、芸術性の高いコンサートからまちなかコンサートまで、さらにワークショップやアカデミーも開催され、音楽の未来をつくる「ひとづくり」にも寄与しています。

今年は「弦楽四重奏の現在(いま)」をテーマに、アルディッティ弦楽四重奏団をはじめとする国内外の一流演奏家が、この音楽祭ならではのプログラムを披露。そのおもな聴きどころをご紹介します。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

今年の音楽祭では弦楽四重奏をメインに、ピアノを加えた五重奏曲も併せて弦楽器の魅力をたっぷりと楽しむことができる

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「まちづくり」「ひとづくり」「みらいづくり」をコンセプトに

武生(たけふ)国際音楽祭は、第1回の「フィンランド音楽祭90武生」の時から、市民ボランティア団体(現:武生国際音楽祭推進会議)が主体となって運営を行なっている。

コンサートでは高い芸術性を追求する一方で、フェスティバルを通じた町おこしを主眼としてきた。

現在は、日本が世界に誇る作曲家の細川俊夫音楽監督の下で、「まちづくり」「ひとづくり」「みらいづくり」の3点をコンセプトとしている。

国内外の優れた音楽家を越前市(旧:武生市)に約1週間招待し、古典から世界初演の新曲まで多種多様な演目のコンサートを連日開催することで、地域に活力を与えられるような音楽祭を目指している。

武生音楽祭の音楽監督を20年近く務める作曲家の細川俊夫

アウトリーチや作曲ワークショップ、夏季アカデミーまで開催

越前市文化センターなどのホールで開催するメインコンサート以外にも、寺社や銀行など地域住民の生活空間に演奏家を派遣するアウトリーチコンサートや、青少年を対象にしたスクールコンサートも積極的に行なっている。

また、細川俊夫や伊藤恵という優れた音楽家に音楽監督やコンサートプロデューサーとして企画製作を依頼している長所を活かし、若手音楽家のための作曲ワークショップや夏季アカデミーも並行して開催。将来を担う若手音楽家にとって重要な研鑽の場を提供している。

これらも、「まちづくり」「ひとづくり」「みらいづくり」というコンセプトを具現化する上で、武生国際音楽祭にとって重要な活動だ。

古典から現代音楽まで様々な弦楽四重奏曲が体験できる

武生国際音楽祭2022のテーマは、「弦楽四重奏の現在(いま)」。弦楽四重奏は18世紀後半以降の西洋音楽の根幹をなすジャンルとして発展し、現代に生きる作曲家にも音楽的実験の場を提供。

また、演奏家同士の呼吸や視線の合わせ方などを存分に体験できるのも、弦楽四重奏ならではの楽しみだ。

古典から最新の現代音楽までを扱う武生国際音楽祭でこそ体験できる、様々な弦楽四重奏曲が、国内外で活躍する最高の演奏家によって届けられる。

もちろん、弦楽四重奏曲以外にも、ピアノや管楽器を加えた編成の曲が名手によって上演されるので、こちらにも期待が高まる。

武生国際音楽祭は、現代曲をメインにしていることが大きな特徴だ

現代音楽のスペシャリスト、アルディッティ弦楽四重奏団が登場

武生国際音楽祭に出演する演奏家の陣容はいつも素晴らしいが、今年のテーマとの関連でいえば、アルディッティ弦楽四重奏団は外せない。

世界でもっとも優れた現代音楽の弦楽四重奏団と評され、武生国際音楽祭にとっても繋がりの深い彼らが、3年ぶりに招待される海外演奏家として登場する。

また、エール弦楽四重奏団(山根一仁、毛利文香、田原綾子、上野通明)が、久々に4人揃って出演。

さらに、招待作曲家であるミラノ音楽院教授アレッサンドロ・ソルビアーティとその作品にも注目したい。

武生国際音楽祭には毎年実力派の演奏家が勢揃いする。N響客演コンサートマスターの白井圭もそのひとり

現代曲との出会いから広がる豊かな世界

弦楽四重奏に関しては、現代曲にフォーカスした9月6日「アルディッティ弦楽四重奏団コンサート」や、ベートーヴェン・バルトーク・ウェーベルンの作品を上演する9月10日「弦楽四重奏の夕べ」に注目。

また、9月9日~10日の「細川俊夫と仲間たち」「新しい地平I~III」では、世界初演・日本初演を含む多数の現代曲が披露される。

現代曲というと難解だったり取っつきにくかったりするイメージが先行するが、音の響きそのものや演奏家同士のかけあいなどに意識を向けてみると、驚くほど豊かな世界が広がっている。自分の感性に合った作品や作曲家が必ず見つかるはずだ。

他にも、武生国際音楽祭の出演演奏家が一同に会する9月4日の「オープニングコンサート」や、鈴木優人が地元合唱団を指揮する9月11日「ファイナルコンサート」、同じく9月11日の「ピアノ名曲コンサート」も、大規模な公演としてお薦めだ。

昨年のファイナルコンサートにおける、鈴木優人指揮のJ.S.バッハ「カンタータ」の舞台から
武生国際音楽祭

【メインコンサート】

オープニングコンサート
2022年9月4日(日)15:00開演

チェロ音楽の夕べ 伊藤恵プロデュース1
9月5日(月)19:30開演

アルディッティ弦楽四重奏団コンサート
9月6日(火)19:30開演

吉野直子&マリオ・カーロリ 珠玉のデュオコンサート
9月7日(水)19:30開演

ソプラノと弦楽の響き 伊藤恵プロデュース2
9月8日(木)19:30開演

新しい地平コンサートI
9月9日(金)17:00開演

細川俊夫と仲間たち
9月9日(金)19:00開演

新しい地平コンサートⅡ
9月10日(土)15:00開演

新しい地平コンサートIII
9月10日(土)17:00開演

弦楽四重奏の夕べ 伊藤恵プロデュース3
9月10日(土)19:30開演

ピアノ名曲コンサート
9月11日(日)10:30開演

ファイナルコンサート
9月11日(日)16:00開演

出演:アルディッティ弦楽四重奏団、伊藤恵、津田裕也、北村朋幹(ピアノ)、白井圭、山根一仁(ヴァイオリン)、上野通明、水野優也、岡本侑也(チェロ)、吉野直子(ハープ)、上野由恵、マリオ・カーロリ(フルート)、大石将紀(サクソフォン)、半田美和子(ソプラノ)、鈴木優人(指揮)、他

会場:越前市文化センター大ホール、越前市いまだて芸術館

公式サイト

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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

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