イベント
2020.04.23
4月25日~5月6日 開催

オンラインで世界と地域を繋ぐ「くものうえ⇅せかい演劇祭」開催

岡山朋代
岡山朋代 ライター

1984年生まれ、千葉県佐倉市出身。明治大学文学部卒業後、東進ハイスクールの校舎運営、朝日新聞夕刊の執筆・編集、ステージナタリー記者を経て現職へ。『ぴあ』、『ウートピ...

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新型コロナウイルス感染症の拡大で、コンサートをはじめとする公演が次々と中止・延期といった窮地に立たされている。毎年4~5月のGWシーズンに街をあげて盛り上がる、SPAC(静岡県舞台芸術センターと静岡県主催のふじのくにせかい演劇祭、そんな憂き目に遭ったイベントのひとつだ。

Shizuoka 春の芸術祭と題して、2000年より世界各国の優れた舞台芸術を紹介してきたSPAC。活動15年目を迎えた2011年から現在の名称改め、新たなスタートを切ったこれに込められているのは、富士山を抱く“ふじのくに(静岡県)”と“せかい”は演劇を通じてつながっている──というメッセージ。最先端の演劇だけでなく、ダンス・映像・音楽古典芸能など海外から招聘し、世界中のアーティストが静岡の地で交流することを理念に掲げている

しかし同感染症の世界的な流行によって出入国が大幅に制限され、海外アーティストの来日は叶わず。2007年よりSPACの芸術総監督を務める宮城聰は「演劇を必要とする人がいる以上、SPACの作品だけでも上演できたら」と考えたものの、感染リスクの観点から俳優やスタッフのみならず、全国から来場する観客の身に危険がおよぶ可能性があると判断し、自身が演出するアンティゴネ』『おちょこの傘持つメリー・ポピンズも含めて中止を決めた

一方で、宮城は「これから《演劇を絶たれた状態で、どうやって生き延びるか》を皆さんとともに発明しようと思います」と前を向く。その一環として、同演劇祭が予定されていた4月25日(土)~5月6日(水・休)にオンライン上で繰り広げる「くものうえせかい演劇祭2020(World Theatre Festival on the Cloud)」を企画した。

映像配信プログラムには、「ふじのくに」で上演される予定だったオペレッタ『愛が勝つおはなし ~マレーヌ姫~』がラインナップ。グリム童話をベースにした筋運びは、子どもが観ても楽しめるだろう。音楽家でもある俳優の歌唱が、ノスタルジックなピアノやチェロの音色に乗るさまを堪能したい。また、世界的に名高いアヴィニョン演劇祭から招聘を受けて制作された、宮城の演出作であるSPAC『アンティゴネ』(2017年)の全編映像も公開される。

トーク企画として、宮城が「ふじのくに」に参加予定だった海外の演出家とインターネット上で語り合う「せかいとつながる くものうえトーク」企画もお目見え。映像配信もされるグリム童話をベースにした音楽劇『愛が勝つおはなし ~マレーヌ姫~を手がけるはずだったフランスの劇作家・演出家のオリヴィエ・ピイ5人が登場し、胸中を語る

『愛が勝つおはなし ~マレーヌ姫~』 ©Christophe Raynaud de Lage / Festival d’Avignon

またSPACの俳優とスタッフが考案した“ブロッサム企画”も展開。彼らとSPACゆかりのあるゲストによるトーク番組が『くものうえ』YouTube公式チャンネルで生配信されるすでに行われた山田裕幸ノゾエ征爾原田一樹小野寺修二多田淳之介(いずれも演出家)についてはアーカイブ化され、いつでも視聴可能に。今後は文学座の今井朋彦、Noismの金森穣、俳優の古舘寛治がゲスト出演する。

現状をどのように捉え、“アフターコロナ”に向けて各自どんな取り組みを考えているのか、世界をまたぐ知恵に耳を傾けたい。

ふじのくに⇄せかい演劇祭 2020 ガイドパンフレット/表紙:大高浩一(SPAC)©日置真光
岡山朋代
岡山朋代 ライター

1984年生まれ、千葉県佐倉市出身。明治大学文学部卒業後、東進ハイスクールの校舎運営、朝日新聞夕刊の執筆・編集、ステージナタリー記者を経て現職へ。『ぴあ』、『ウートピ...

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