プレイリスト
2020.08.20
おやすみベートーヴェン 第249夜【作曲家デビュー・傑作の森】

「6つの歌(ゲザング)第5曲《遥かな恋人(男性)に》」——大気に響くアウフ・ヴィーダーゼーン

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1800年、30歳になったベートーヴェン。音楽の都ウィーンで着実に大作曲家としての地位を築きます。【作曲家デビュー・傑作の森】では、現代でもお馴染みの名作を連発。作曲家ベートーヴェンの躍進劇に、ご期待ください!

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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大気に響くアウフ・ヴィーダーゼーン「6つの歌(ゲザング)第5曲《遥かな恋人(男性)に》」

1809年にナポレオン率いるフランス軍に対する連合軍に従軍し、ウィーンを訪れていた詩人クリスチャン・ルートヴィヒ・ライシッヒ。ベートーヴェンは彼の詩による歌曲を、この年に5曲作曲している。この6節からなる有節歌曲もそのひとつ。ト長調、ラルゲット、8分の6拍子。全10小節で6回繰り返し歌われる。

「かつて甘き安らぎと黄金のような素晴らしい平安が、私の胸の内に住んでいました。ああ、今はどんな喜びの中にも、憂いが混じるのです、お別れして以来」そして「満月の夜に、あなたが私を思ってくれるならまるでゼフィルス(西風)の息吹のように、大気を貫きメロディのように響き渡るのをきくでしょう〈アウフ・ヴィーダーゼーン(さようなら=また会う日まで)と」

解説: 平野昭

集中的に作曲されたライシッヒの詩による歌曲の2曲めです。この美しくも、物悲しいメロディを聴いていると、ベートーヴェンの私生活に何かが? と勘ぐってしまいますね。

作品紹介

「6つの歌(ゲザング)第5曲《遥かな恋人(男性)に》」op.75-5

作曲年代:1809年(ベートーヴェン38歳)

出版:1810年 8月

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