レポート
2026.05.16
【最新】海外クラシックNEWS~fromオーストリア

オーストリア2026年 夏の音楽祭ガイド~ザルツブルク音楽祭から魅惑の野外オペラまで

海外のクラシック界のニュースやコンサート、オペラ公演の様子を、現地在住の筆者がいちはやくお届け。今回はオーストリアの音楽シーンから、2026年夏の音楽祭をご紹介します。

取材・文
平野玲音 Reine Hirano
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平野玲音 Reine Hirano

オーストリア在住のチェリスト・文筆家。「平野玲音の演奏は、ピュアで豊かな音楽性によりウィーンの香りを客席まで運んでくれる。これはテクニック重視の現代の音楽界にあって大...

音楽の友 編集部
音楽の友 編集部 月刊誌

1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...

世界中から聴き手が集うザルツブルク音楽祭。メイン会場の祝祭大劇場の前はたいへんなにぎわいとなる ©SF/Andreas Kolarik

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オーストリアでは夏の盛りに大半の歌劇場やホールが閉まり、全国各地で開催される個性的なフェスティヴァルに光が当たる。今回は「プレ・レポート」として、主だったイヴェント予告をまとめてみたい。

ザルツブルク音楽祭、ステュリアルテ音楽祭、レハール音楽祭

7月17日~8月30日のザルツブルク音楽祭は、ご紹介するまでもない、世界に名高いフェスティヴァル。ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団などによる上質のコンサートやオペラが並ぶ。新演出のオペラはビゼー《カルメン》、リヒャルト・シュトラウス《ナクソス島のアリアドネ》、メシアン《アッシジの聖フランチェスコ》。アスミク・グリゴリアンのカルメン役デビューはとくに注目されている。

6月26日~7月26日グラーツでのステュリアルテ音楽祭は、壮麗な宮殿や教会も舞台となるため、オーストリアの歴史や文化を総合的に伝えてくれる。今年は「光」をテーマに掲げ、モーツァルト《魔笛》(ハルモニームジークのための編曲版)および《レクイエム》、ハイドン《天地創造》といった名曲群を取り上げる。

オペレッタがお好きなら、7月11日~8月30日にバート・イシュルで開かれるレハール音楽祭へ。「Kaiserstadt」(皇帝の街)にふさわしい、古きよきウィーンふうのスタイルで、スッペ《ボッカッチョ》、カールマン《伯爵令嬢マリツァ》、レハール《神の夫》の3作品が上演される。

フェスティヴァルではないが、バーデン市立劇場と同じ「Bühne Baden」に属するサマーアレーナ(バーデン)でのオペレッタも心地よい。開閉可能なガラスの屋根が付いているため、晴天時は夜風に吹かれ、雨天の場合は濡れることなく安心して鑑賞できる。6月26日~8月27日に、ツェラー《小鳥売り》を上演。

ウィーンの北に位置するクロスターノイブルクの野外オペラフェスティヴァルは、情趣ある修道院の中庭で開催されて、雨天の場合は屋内の別のホールに移動するので、これまたオールウェザー型。7月7日~8月1日に、サン=サーンス《サムソンとデリラ》を予定している。

雰囲気抜群の環境で楽しむ野外オペラ

《トスカ》の舞台模型 ©Andreas Hafenscher
ザンクト・マルガレーテン採石場における《トスカ》の舞台模型 ©Andreas Hafenscher

雨のリスクを冒す余裕があるならば、オーストリアの夏の夜はさらに素敵なものになる。以下に記す野外における催しは、基本的に雨でも敢行されるため、ポンチョなどの雨具(視界を遮る傘はNG)や防寒具、歩きやすい靴などの特殊な準備が必要だ。最悪、中止になっても諦めがつく場合のみ、鑑賞を計画されるとよいだろう。

首都ウィーンで過ごす方には、7月1~18日ホイマルクトでの「オペラの夏」がおすすめだ。コンツェルトハウス脇のスペースでアクセスがよい上に、初心者にもわかりやすい演出で肩肘張らずに野外オペラを楽しめる。総裁の服部譲二自らが、ビゼーの名作《カルメン》を指揮。

壮大なザンクト・マルガレーテン採石場での野外オペラは、開放感たっぷりの夏休みのハイライト! 今年は7月15日~8月22日にプッチーニ《トスカ》を上演、約24.5メートルの横幅と12トンの重量を持つ芸術的な祭壇などが観客たちをストーリーに引き込むという。ウィーンからのシャトルバスで気軽に日帰り旅行ができ、贅を尽くした舞台や衣裳、歌劇場とは一味違うスペクタクルに圧倒されることだろう。

オーストリアのもっとも古い城の一つ、ガルス城での野外オペラも、廃墟を照らすほのかな明かりが趣深い優美なイヴェント。バリトン歌手のクレメンス・ウンターライナーが総裁になって以来歌手の質が向上し、野外舞台でありながら、生の美声を堪能できる。7月11日~8月1日のプッチーニ《蝶々夫人》の日程中、7月11日、23日、8月1日にはウィーンからのシャトルバスがある。

残念ながら車でしか訪問できないが、筆者が毎年楽しんでいる、ターボア宮殿でのフェスティヴァルもご紹介したい。ハンガリー、スロヴェニアとの国境に近い大自然に囲まれて、宮殿の中庭でオペレッタを観るひとときは、夢の世界に迷い込んだかのよう。8月5~16日にヨハン・シュトラウス2世《ウィーン気質(かたぎ)》を予定しており、ターボア宮殿ならではの魅惑の舞台に期待が高まる。

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平野玲音 Reine Hirano
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平野玲音 Reine Hirano

オーストリア在住のチェリスト・文筆家。「平野玲音の演奏は、ピュアで豊かな音楽性によりウィーンの香りを客席まで運んでくれる。これはテクニック重視の現代の音楽界にあって大...

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1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...

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