レポート
2026.05.11
次世代を担う若手指揮者を京都から世界へ

京都市交響楽団が「“世界にはばたく指揮者”育成プロジェクト」を始動!

今年で創立70周年を迎えた京都市交響楽団。節目の年を記念し、2023年に常任指揮者に就任した沖澤のどかがかねてから熱望していたという全3回に及ぶプロコフィエフの交響曲全曲演奏会「プロコフィエフの陣」を実施している(第1回は5月3日に開催)。また、同楽団と沖澤による共同プロジェクトとして、若手指揮者の育成を目的とした「“世界にはばたく指揮者”育成プロジェクト」を演奏会と並行して行なっており、同プロジェクトについての会見が4月30日に開かれた。

音楽の友 編集部
音楽の友 編集部 月刊誌

1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...

育成プロジェクトの初回に参加した籔本繁倫さん(左・京都市立芸術大学 指揮専攻4回生)、森田龍舞さん(右・京都市立芸術大学 指揮専攻3回生)と、京都市交響楽団常任指揮者の沖澤のどか
©京都市交響楽団

この記事をシェアする
Twiter
Facebook

今回のプロジェクトは専門人材の育成を目的としており、リハーサルでの音楽づくりや、オーケストラのメンバーとの信頼関係を築きあげる力など、さまざまな能力が必要とされる指揮者の仕事を現場で見て学ぶというものである。今回の第1回では、京都市立芸術大学から二人の学生が参加し、5月3日の公演「プロコフィエフの陣」に向けた3日間のリハーサルに立ち会った。

世界でもまれにみるプロコフィエフの交響曲全曲演奏会に挑んでいる沖澤。京響の常任指揮者就任当時から形にしたいと願っていた育成プロジェクトもついに実現でき、自身の渾身の取り組みに対する思いを述べた。

「プロコフィエフの交響曲を選んだ理由は演奏の機会が少ないことだけではなく、オーケストラのリミッターを外せると思ったからです。京響とさまざまな作品を演奏してきて、大胆な切り込みができる高い集中力をもったオーケストラであると感じますが、さらに表現力を増すためにプロコフィエフのような規格外の作品を一からいっしょに作っていくことで、オーケストラの馬力や表現力が上がり、自信につながるのではないかと思いました。

私が20歳代前半のときに井上道義先生と広上淳一先生が開催されていた講習会に参加したことをきっかけに、オーケストラ・アンサンブル金沢の指揮研究員と事務局員として1年半研鑽を積みました。指揮する機会は少なく、唯一振ることができたのは偶然にもプロコフィエフだったと思うのですが、オーケストラの前に立つことで多くのことを学びました。

今回のプロジェクトでは指揮そのものよりも、オーケストラの現場ではどのような会話が繰り広げられているか、1回の演奏会にどれだけの人々がかかわっているかということを学んでほしいと思います」

自らの指揮ぶりを反面教師に学んでほしいと語った沖澤のどか
©京都市交響楽団

初日リハーサル後に会見に臨んだプロジェクト参加者の籔本繁倫さん(京都市立芸術大学 指揮専攻4回生)と森田龍舞さん(京都市立芸術大学 指揮専攻3回生)は、今後の抱負について語ってくれた。

「リハーサルを拝見させていただき、沖澤さんの指揮はとても分かりやすく、魅力的な音楽を作り上げていて、すごく勉強になりました。プロジェクトを通して、自分をさらにブラッシュアップし、いままで殻に閉じこもっていた部分を打ち破って、世界に羽ばたく指揮者への一歩になるようがんばっていきたいです」(籔本)

「これまでにも何度か京都市交響楽団のリハーサルを拝見したことはあったのですが、今回は初日にしか味わえない高揚感や興奮を覚えました。現在、定期演奏会の副指揮者としてオーケストラにかかわる機会はありますが、現場で得た学びを学校での勉強に持ち帰り、自分なりになりたい指揮者をイメージして成長していけたらと思います」(森田)

プロジェクトの参加者の二人は、スコアを持ち寄ってリハーサルに参加した
©京都市交響楽団

プロコフィエフの交響曲全曲演奏会と、育成プロジェクトともに幸先のよいスタートを切り、ますます進化を遂げる沖澤のどかと京都市交響楽団。今後は東京音楽大学、東京藝術大学からの参加者を迎えて次世代を担う若手指揮者の育成に励んでいく。

音楽の友 編集部
音楽の友 編集部 月刊誌

1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...

ONTOMOの更新情報を1~2週間に1度まとめてお知らせします!

更新情報をSNSでチェック
ページのトップへ