レポート
2026.08.20
2026年9月紀伊國屋ホールで世界初演、孤高の天才ニコラ・テスラを描く

海宝直人、濱田めぐみ、成河、昆夏美が出演!疾走感あふれる新作ミュージカル『ニコラ・テスラ』

歌唱力、演技力ともに日本が誇る実力派ミュージカル俳優4名――海宝直人、成河、濱田めぐみ、昆夏美。彼らが多役を演じ分けながら、休憩なし、約100分間ノンストップで駆け抜ける新感覚の新作ミュージカル『ニコラ・テスラ ~エジソンが恐れた孤高の天才~』(企画・制作:ホリプロ)が、今秋に世界初演を迎える。その制作真っ只中、稽古場で記者会見が行なわれ、楽曲披露とともに作品の概要が明かされた。

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1941年12月創刊。音楽之友社の看板雑誌「音楽の友」を毎月刊行しています。“音楽の深層を知り、音楽家の本音を聞く”がモットー。今月号のコンテンツはこちらバックナンバ...

(左から)ロジャー・ディッパー(脚本)、ニック・ブッチャー(作曲)、濱田めぐみ、海宝直人、昆夏美、成河、下平慶祐(演出)

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電気技師・発明家テスラの人生を描く

ニコラ・テスラ(1856~1943)とは、アメリカの発明王エジソン(1847~1931)と同時代に生き、現代の電力システムや無線通信の基礎を築いた電気技師・発明家。エジソンとは電力供給の規格を巡り対立したライバル関係にもあった人物だが、日本でその功績が語られる機会は少ない。

本作は、ホリプロの制作担当者がテスラとエジソンのエピソードに着目したことを発端に、作曲家のニック・ブッチャー(音楽・歌詞)と脚本家のロジャー・ディッパーとの制作が始まった。電気にまつわる歴史ではなく、テスラという一人の人物の人生と感情を描くストーリーに仕立てられている。

二コラ・テスラ役の海宝直人は、「才能あるかたがたが集まり、意見をぶつけ合いながら妥協なくよいものを作ろうと戦っています。演出の下平慶祐さんのビジョンが実現した日には、誰も観たことのない新しいミュージカルが誕生すると確信しています。

この作品は二コラ・テスラの伝記、彼の相手に思いがかしさや、決して戻れない人生の過去への思いなど、誰もが共感できる作品に仕上がっていると思います

海宝直人(トラック1)ニコラ・テスラ役

90分ノンストップ上演

本作の特徴の一つは「疾走感」。90分ノンストップ上演で物語が終結する。会見で披露された楽曲もテンポ感がよく、前向きでリズミカルだった。これはつねに先を見据えていたテスラの「先見性」を表現しているという。

「ニコラ・テスラは時代を超越した思考の持ち主であり、先見の明があった人物です。電気が走っているかのような刺激的な思考で、あらゆるものに挑戦し続けていました。俳優たちが演じるテンポを通じて、その躍動感を表現したいと考えています。物語の終盤にかけてペースは徐々に緩やかになり、より内省的な展開へと移っていきますが、これもまた彼がどのように生き、どのように死んでいったのかを反映しているのです。

そして、今回は歴史的史実をもとにていますが、思っています彼自身の悩みや人生をテーマ描くことで、日本であろうとロンドンであろうと、誰もが共感できるものになると考えています」(脚本:ロジャー・ディッパー)

ロジャー・ディッパー
2024年にエディンバラ・フリンジで上演されたミュージカル『I Wish You Well』が高く評価され、同年、ウエストエンドでも上演。The New York Times から「a triumph(大成功作)」と称賛される。現在は、同名絵本を原作とするミュージカル版『And Tango Makes Three』の新作開発をはじめ、コメディTVパイロット『Keeping Faith』、長編アニメーション・ミュージカル、そしてジュークボックス・ミュージカルなど、複数のプロジェクトが進行中。また、俳優としても多くの作品に出演をしており、『Matilda』、『Groundhog Day』、『Singin’ in the Rain』、『Gypsy』 などのミュージカル作品に出演している。

楽曲の方向性について、作曲家のブッチャーは「どの作品を作曲するときも同じですが、耳に残るような、観客のみなさんが歌を口ずさみながら劇場をあとにするような楽曲を目指しました。また、テスラの電気に関する先見性を音楽で表現するため、シンセサイザーやギターといった電子楽器も多用しています。電気が流れているような音風景を感じていただけるはずです」と述べる。

ニック・ブッチャー
エミー賞およびローレンス・オリヴィエ賞にノミネートされたソングライターであり、英国演劇界の影響力ランキング「The Stage 100 UK」にて“Rising Star”に選出された注目のクリエイター。ウエストエンドのヒット作『The Little Big Things』(オリヴィエ賞およびWhatsOnStage Award受賞)の作曲・作詞を手がけ、同作はロンドンの@sohoplaceにて上演された。本作により、オリヴィエ賞ならびにStage Debut Awardの「最優秀音楽・作詞・脚本家賞」部門にノミネートされ、また、『The Little Big Things(Original West End Cast Recording)』の共同プロデュースも務め、同アルバムはiTunesサウンドトラック・チャート初登場1位を記録。さらに、Royal Variety Performanceにて、Royal Albert HallからITVで放送される舞台でも楽曲が披露された。最新作のポップ・ミュージカル『WEIRD』は、『マクベス』の三人の魔女に着想を得た作品で、プロデューサーのMichael Harrisonによって製作され、ニューカッスルでのワールドプレミアのチケットは完売となった。Netflix Animationのために書き下ろした楽曲「Tornado」により、エミー賞(Best Original Song)にノミネート。また、受賞歴を持つプロデューサー/ソングライターのSteve Mac およびSM Entertainmentと共にヒット曲「Best Day of Our Lives」を共同プロデュースし、同曲はOfficial UK Soundtrack Chartsで初登場1位を獲得。Goodspeed Writers GroveおよびJohnny Mercer Songwriters Projectのレジデンシー参加アーティストでもあり、彼の楽曲はBBC Radio 1、BBC Radio 2をはじめとする主要ラジオ局で放送されている。

「4人」のキャストで複数の役を演じ分ける

演出を務めるのは、アメリカ出身の新進気鋭若手演出家・下平慶祐。「4人」のキャストでテスラの生涯とそれを取り巻く人々を描きだす。

テスラ自身が『3』という数字を大切にしていたことをふまえ、舞台上に登場する『3人』の存在を重視して構成しています。キャスト陣はさまざまな役柄を演じ分けますが、それぞれ異なるなにかを象徴しています。

舞台全体は“一人の人生の話”として内容が展開しますが、個人的に思うのは、資本主義社会が拡大し価値観が均質化・統一化されつつある現代に狼煙(のろし)を上げるような、人生讃歌の物語になっていると思います。僕は人の価値とは他人が決めるものではなく己が決めるべきだと考えています。現代の日本のみなさまの感情を揺さぶるような作品になればと思います」(演出・翻訳:下平慶祐)

下平慶祐
ニューヨーク出身。一橋大学在学中に戯曲『Boeing Boeing』を初演出、2013年にGrand PrizeとStage Effect Prizeを大会史上最年少演出家として獲得。脚本家としては、17年に『マークドイエロー』が佐藤佐吉賞(優秀脚本賞)を受賞。22年に『シェイリ』『令嬢ジュリー』が若手演出コンクール優秀賞次点。近年の主な参加作品に『飛び立つ前に』(ドラマターグ)、『正三角関係 / Love in Action』(ロンドン版字幕)、『Belleville』(翻訳・演出)、『ART』(翻訳・演出)などがある。

キャスト陣が語る創作の手ごたえ

複数の役を演じ分ける、濱田めぐみ、成河、昆夏美。稽古は佳境を迎えるいま、作品を通じて感じること、手ごたえを述べた。

みなさん察していらっしゃると思いますが、とにかく速いです。 稽古のスピードも速いし、物語の進みもとても速い(笑)。我々がいかに丁寧にお伝えできるかがキーになると思っています。いまと感じています。ラストスパートにむけて必死で頑張ります」(濱田めぐみ)

濱田めぐみ(トラック2)5役/キャサリン、母、ウェスティングハウス他

「『生みの苦しみ』とはよく言いますが、本当にいま苦しんでいます(笑)。業はひとこといですが、わからないものもきちっと日常の中に染み込んでいるんだなということが気づくきっかけに日々なっています」(成河)

「現場では、“作っては壊し、作っては壊し”を繰り返すような、刺激的な時間を過ごしています。主人公・テスラの根底にある自分の信念を貫く強さ、生きざまは、もどかしさを感じながら生きる現代の人々にとって響くものだと感じています」(昆夏美)

成河(トラック3)13役/父、ペッシェル教授、チャールズ・バチェラー、ハロルド・ブラウン、チャールズ・フレッチャー・ペック他
昆 夏美(トラック4)12役/ナース、ダネ、エジソン、アルバート・S・ブラウン他

ホリプロ・グループ会長の堀義貴氏は、「この作品がとをません。、さらに日本の演劇が海外でも評価されるようにす」と意気込む

なお紀伊國屋ホールでのミュージカル上演は初の試み。

いままさに、クリエイターたちが熱量込めて制作するオリジナル・ミュージカル。その開幕が待ち遠しい。

新作ミュージカル『ニコラ・テスラ ~エジソンが恐れた孤高の天才~』
期間・会場:東京公演:2026年9月6日(日)~9月29日(火)・紀伊國屋ホール/大阪公演:10月3日(土)~4日(日)・梅田芸術劇場シアター・ドラマシティ
出演:海宝直人、成河、濱田めぐみ、昆 夏美

音楽・歌詞:ニック・ブッチャー
脚本:ロジャー・ディッパー
演出・翻訳:下平慶祐
訳詞:福田響志
音楽監督:村井一帆
美術:山本貴愛
照明:吉本有輝子
音響:山本浩一
振付:塩野拓矢(梅棒)
衣裳:前田文子
ヘアメイク:鎌田直樹
歌唱指導:やまぐちあきこ
稽古ピアノ:石川花蓮/栗山 梢(treetop)/MiyaB/豊住 舞(treetop)
演出助手:福原麻衣/朝倉エリ/坪井彰宏
舞台監督:加藤 高
主催・企画制作:ホリプロ

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