読みもの
2020.09.08
大井駿の「楽語にまつわるエトセトラ」その20

シャコンヌ:語源はかわいらしい?! はじめは意外な場所で流行った舞曲

大井駿
大井駿 指揮者・ピアニスト・古楽器奏者

1993年生まれ、東京都出身。 パリ地方音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム大学ピアノ科・指揮科卒。 同大学院、ミュンヘン国立音楽演劇大学でピアノ、指揮、古楽の3科...

トムリンソン《ダンスの技法》よりシャコンヌのイラスト

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シャコンヌの起源は16世紀だといわれていますが、なんと人気の舞台となったのはアメリカ大陸、特に南アメリカだといわれています。

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フランスの言語学者エミール・リトレ(1801〜1881年)によると、シャコンヌという言葉自体は、スペインとフランスの国境で話されているバスク語の「かわいらしい(chocuna)」が語源だとされています。16世紀はまさに大航海時代のまっただ中。もともとヨーロッパで踊られていたシャコンヌを、アメリカ大陸へ渡ったばかりのバスク人やスペイン人たちが踊っていたのにも頷けます。

アメリカ大陸より一歩遅れ、ヨーロッパでシャコンヌの人気が出てきたのは17世紀になってから。だんだんとフランスやイタリアでも演奏されるようになります。このシャコンヌという読み方はフランス語ですが、スペイン語やイタリア語ではチャコーナ(伊ciaccona、西ciacona)と呼ばれています。

バッハ 《無伴奏ヴァイオリンのためのパルティータ第2番》より「シャコンヌ」自筆譜

シャコンヌの大きな特徴、それは同じハーモニーの並び(いわゆるコード進行)を何度も繰り返すことです。そう、とてもシンプルなんです! そのため、手軽に演奏できたというのも移民たちのあいだで人気となった大きな理由だと考えられます。他の特徴として基本的に3拍子であることも挙げられ、ラ・フォリア(La folía、スペイン語で「狂気の沙汰」)やサラバンドのような、同じく3拍子でスペイン起源の踊りと関連をもつとされています。

シャコンヌは時代とともに荘厳なものとなり、18世紀前半にはテンポも人気も衰えてしまいます。しかし19世紀半ば以降、過去のものとなったシャコンヌを懐かしむような形で再びスポットが当てられるようになりました。

シャコンヌを聴いてみよう

1.  アラニェス:¡A la vida bona!
2. ラモー:抒情悲劇《ファエトン》〜「シャコンヌ」
3. コレッリ:12のヴァイオリンソナタ 作品5〜第12番「ラ・フォリア」
4. J.S.バッハ:ヴァイオリンのためのパルティータ第2番〜第4番「シャコンヌ」
5. グルック:歌劇《オルフェオとエウリディーチェ》〜第3幕終曲「シャコンヌ」
6. ブラームス:交響曲第4番 作品98〜第4楽章(作曲者自身が「シャコンヌ」と称していた)

大井駿
大井駿 指揮者・ピアニスト・古楽器奏者

1993年生まれ、東京都出身。 パリ地方音楽院、ザルツブルク・モーツァルテウム大学ピアノ科・指揮科卒。 同大学院、ミュンヘン国立音楽演劇大学でピアノ、指揮、古楽の3科...

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