レポート
2026.04.15
史上初メイド・イン・ジャパンの全幕バレエを上演

東京バレエ団×金森穣『かぐや姫』、パリ・オペラ座で上演決定 日本のバレエを世界へ!

東京バレエ団が、オリジナル・バレエ作品『かぐや姫』全幕を来年5月にパリ・オペラ座ガルニエ宮で上演することを発表。日本のバレエ団として、また日本人振付家の作品の上演はパリ・オペラ座では初の快挙となる。4月11日に記者会見が行なわれ、この公演に向けて制作陣らが熱き意気込みを述べた。

左から金森穣(演出振付家)、斎藤友佳理(東京バレエ団団長)、秋山瑛(東京バレエ団プリンシパル)、大塚卓(東京バレエ団ファーストソリスト)©Yuji Namba

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なぜ日本人振付家の作品がないのか

バレエ『かぐや姫』は、日本最古の物語『竹取物語』を題材に、ドビュッシーの音楽でその世界を映しだす東京バレエ団のオリジナル作品。演出・振付はバレエ団の委嘱で金森穣が務め、2024年10月に東京文化会館で全幕世界初演が行なわれた(5月に東京文化会館で改訂版上演予定)。クラシックのみならず、ベジャールやジョン・ノイマイヤーなど現代作品も得意とする東京バレエ団ならではの斬新な舞台に仕立てられている。

1964年の創立以来62年の間に、33カ国158都市で計799回の海外公演を実施している東京バレエ団だが、来年5月のパリ・オペラ座での上演は、日本バレエ史にとっても特別な舞台となる。

公益財団法人日本舞台芸術振興会(NBS)専務理事・高橋典夫氏は、「海外公演を行なうたびに、現地の人々から『なぜ日本人振付家の作品がないのか』といわれ続けてきました。これまでベジャール振付『ザ・カブキ』やノイマイヤー振付『月に寄せる七つの俳句』など日本をテーマにした作品を上演してきましたが、日本人振付家、日本人スタッフによる“メイド・イン・ジャパン”の作品は今回の『かぐや姫』が初めてです。創業者の佐々木忠次をはじめ、団体としての長年の夢が叶いました」と述べる。

公益財団法人日本舞台芸術振興会(NBS)専務理事・高橋典夫氏

振付・演出を務めた金森穣は、2004年に日本初の公立劇場専属舞踊団Noism(ノイズム)を設立した、日本舞踏界を引っ張る存在。「ようやく日本のバレエもここまできた。そして、ここからだ」と強く語る。

「いまでは世界中のバレエ団のプリンシパルに日本人が一人はいる時代になりました。しかし、なにかが足りない。それは振付家だと思います。今回私が振付の機会に恵まれましたが、これは遅かれ早かれ誰かが成し遂げるべきことでした。これからの日本のバレエ界は、国内の舞台芸術を国際的に発信していく時代がきます『かぐや姫』をきっかけに、ともっとが、『行く』というを描けるようになれたら思いす」(金森)

振付・演出家・金森穣

ドビュッシーの音楽だからこそ、フランスで上演したい

自身もバレエダンサーで、現在は東京バレエ団団長を務める斎藤友佳理は、『かぐや姫』をフランスで上演するのを心の内で温めていたという。

「この『かぐや姫』は2017年から金森さんと話し合いを重ね、2021年の初演まで長い時間をかけて制作しています。彼が『かぐや姫』とドビュッシーの音楽を選んだとき、私は密かにいつかパリに行きたいと思っていたのです。そして“メイド・イン・ジャパン”のなかで唯一ジャパンでないのが作曲家のドビュッシーだからこそ、フランスで上演したいという強い思いがありました

東京バレエ団団長・斎藤友佳理

会見には、初演時にかぐや姫役に抜擢された秋山瑛(東京バレエ団プリンシパル)と、この5月に東京文化会館で上演される『かぐや姫』で、本作の童子役デビューを飾る大塚卓(東京バレエ団ファーストソリスト)も登壇した。二人とも、パリ・オペラ座での公演に出演予定である。

秋山は、「小さいころからの憧れだったパリ・オペラ座での上演ときいて、まだ夢の話のようです」と微笑みながら、「この作品に携われたことをほんとうに光栄で幸せなことだと思っています」。大塚は、制作過程やそれぞれの思いを受け、「生半可な気持ちで舞台に臨めないと感じています。まずは東京文化会館での公演で、秋山さんと新たな『かぐや姫』を演じられたらと思います」と述べた。

5月の『かぐや姫』(改訂版)上演は、東京バレエ団が拠点の一つとしてきた東京文化会館の改修前最後の公演とも重なる。

日本の舞台芸術の新たな一歩を踏み出す瞬間が、すぐそこに迫っている。

東京バレエ団プリンシパル・秋山瑛
東京バレエ団ファーストソリスト・大塚卓

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