2020.10.10
おやすみベートーヴェン 第300夜【不滅の恋人との別れ】
「兵士の別れ」 ——出征する兵士の熱い思いを歌いあげる
生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。
ウィーン会議、ナポレオンの没落......激動のウィーンで43歳になったベートーヴェン。「不滅の恋人」との別れを経て、スランプ期と言われる時期を迎えますが、実態はどうだったのでしょう。
ONTOMO編集部
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
出征する兵士の熱い思いを歌いあげる「兵士の別れ」
1814年の暮れに作曲。ルートヴィヒ・ライシッヒ(1783~1847)のこの詩は、まずベートーヴェンが作曲したあとに、ライシッヒの詩集『孤独の花』第3集に収録されて1815年に出版されている。詩は出征してゆく兵士の決意を歌い上げるかのように、決然とした行進曲風の音楽となっている。
「愛に燃えて出征する、涙なしに出てゆこう。腕は祖国に、心は愛しい人に。真の勇者は愛する人のために燃え、戦場で祖国のために死す」。まさにウィーン会議の開かれている戦時下の歌といえるのかもしれない。
解説: 平野昭
5年ほど前に集中的に作曲していた、ライシッヒの詩による歌曲です。ライシッヒ自身、1809年にオーストリア軍がナポレオンに勝利した数少ない戦闘、ウィーン近郊で起こった「アスペルン・エスリンクの戦い」に参戦し、勇敢に戦った兵士でした。
作品紹介
歌曲《兵士の別れ》 WoO143
作曲年代:1814年末(ベートーヴェン44歳)
出版:1815年6月
テキスト:ルートヴィヒ・ライシッヒ
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