読みもの
2018.04.15
住空間の中のオーディオ Vol.2

机上のオーディオひとつで、聴き手の意識が変わることもある

ONTOMOエディトリアル・アドバイザーの林田直樹の仕事場は、日々の主戦場であり、長い時間を過ごす安らぎの場でもある。仕事でも趣味でもある音楽と向き合うためのオーディオと、その空間の理想の姿とは。

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林田直樹
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林田直樹 音楽之友社社外メディアコーディネーター/音楽ジャーナリスト・評論家

1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...

写真:青柳聡

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私にとって、仕事机は、小さな自分だけの王国である。

ちっぽけではあるけれど、そこは——文章を書いたり、ものを考える場所であり、誰かにメールを送ったり、受け取ったり、情報を得たりするための、メインスペースである。時にはここで酒を飲むこともある。

言うまでもなく、ここで圧倒的に長い時間、音楽とともに過ごしている。CDも頻繁に聴いているが、最近はノートPCを通して、ネット上の音楽を聴くことも随分増えた。

そうなってくると、かつてのような応接間やリビングでの大きなステレオ装置ではなく、机の上に乗るようなコンパクトな装置で、PCから出力した音声をハイクオリティで再生することが必要になってくる。

これまで私は、PCから再生するときは、某オーディオメーカー製の小さなスピーカーを使っていた。これはこれでかなり気に入っていたが、今回機会をいただき、ECLIPSE「CDR1 508 PACK」を2週間ほど、日々の生活や仕事の中で試聴してみた。

当初は、ありのままの状態で使ってみようと思い、机の上が書類やCDの山などで散らかっていたまま、空いたスペースに適当にスピーカーを置いて再生してみたのだが、どうもピンとこない。

そこで一念発起、徹底的に机の上をきれいに掃除し、ガランと何もないまっさらな状態を実現した。両コーナーの隅にきちんと左右のスピーカーを置き、最適なリスニングポジションに自分の耳がくるようにした。

そんな気持ちになったのも、ECLIPSE「CDR1 508 PACK」の2本のスピーカーが、卵型にユニークでおしゃれな形状だったからで、せっかくの装置が生きるようにしてやらなければ、と思ったのだ。

久しぶりにまっさらな机にして、気持ちよい環境となったところで、初めてECLIPSE「CDR1 508 PACK」は生き生きと本領を発揮した。ペットを飼うのに、清潔にしてやれば、機嫌よく環境に馴染んでくれるのとまったく同じである。

すぐに感じたのは、中低音のスケール感がよく、奥行き感が素晴らしいこと。演奏している“場”の雰囲気がある。

クラシック音楽の再生に最も必要なのは、超高音や重低音の目立つ、刺激的な強い音ではなく、長時間聴き続けても疲れない、自然な音である。硬質なトーンではなく、柔らかさ、まろやかさが欠かせない。それでいて、解像度が良くて、演奏のディテールがはっきりわかることも重要だ。私は耳が圧迫されるのが大嫌いなので、ほとんどイヤフォンは使わないほうなのだが、スピーカーから聴くときでさえ、なるべく耳にストレスをかけないよう、それほど大きな音では再生しない。それでも細部は感じたい。かなりわがままなリスナーなのである。

ECLIPSE「CDR1 508 PACK」を2週間使い続けて思ったのは、1日の大部分を過ごす私の机、仕事の主戦場であり、安らぎの場所でもある、この小さな王国が、明らかに変わったということだ。

ワンランク上のサウンドが実現し、オーケストラのスケール感や肉声の雰囲気が豊かに再生されたことによって、生活の質が向上したと言っても過言ではない。音楽に欠かせない、非日常性のオーラが伝わってくる。だから、聴く態度も襟を正すような感じになる。そこがいい。

PCからネットを通して聴く音楽も、ぐんと立派なサウンドになるが、CDプレーヤーの再生クオリティの良さも気に入った。これまで普及機のポータブルCD/DVDプレーヤーをつなげていたが、データの読み込み能力がイマイチで、操作感も再生音もどことなく不安定だった。ところが本機の場合、CD再生専用ドライブなので、すべてに安定感がある。レスポンスも早い。気の短い私のような人間にはうれしい。

音楽を自室で聴くのは、毎日のことである。そこでいい音を目指すのは、とても大事なことである。広々とした書斎やリビングルームで悠然と過ごす人には、別の選択肢もあるかもしれないが、私のように机上の小さなマイスペースを大事に使っている者にとっては、ECLIPSE「CDR1 508 PACK」は最高の選択肢と言ってもいい。

え? 机の上をきれいに片付けたから、音も良くなっただけなんじゃないかって?

そういうツッコミに対してはこう答えておこう。可愛らしくて美しい卵型のユニークな形状のスピーカーがやってくることで、自分の意識そのものが変わることもあるんですよ、と。

19世紀英国の思想家・詩人・デザイナーのウィリアム・モリスは、「必要でないもの、美しくないものを、部屋に置いてはいけない」と言ったそうだが、別な言い方をするなら、美しく機能的なものを置くことによって、それに合わせて部屋を、暮らしを、変えたくなることもあると思うのだ。ECLIPSE「CDR1 508 PACK」はそんなきっかけももたらしてくれた。

机の前に貼ってある「Keep Calm and Carry On」のポスターは、英国の精神を象徴するもので、「冷静さを保ちなさい、そして自分のやるべきことをしっかりやりさない」というモットー。常にこの言葉を前に仕事をしている。

カレンダーは前後2か月分は視界に入るようにしている。

作曲家の肖像画はムソルグスキー。真実を射るような眼で見つめていると感じるから。

林田直樹が聴いたオーディオ「CDR1 508 PACK」

CDレシーバーCDR1:ブラック
8cmスピーカーTD508MK3:シルバー/ブラック/ホワイト(1ペア)
希望小売価格:153,000円(税抜)

さらにコンパクトなモデル「CDR1 307 PACK」

CDレシーバーCDR1:ブラック
6.5cmスピーカーTD307MK2A:シルバー/ブラック/ホワイト(1ペア)
希望小売価格:79,000円(税抜)

購入特典

ECLIPSEスピーカーが研究・開発の一翼を担う、英国ハイファイオーディオケーブルメーカー「CHORD」社製の特注スピーカーケーブルを、もれなくプレゼント!

〈問い合わせ〉

(株)デンソーテン
Tel.0120-02-7755
https://www.eclipse-td.com/products/cdr1/index.html

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林田直樹 音楽之友社社外メディアコーディネーター/音楽ジャーナリスト・評論家

1963年埼玉県生まれ。慶應義塾大学文学部を卒業、音楽之友社で楽譜・書籍・月刊誌「音楽の友」「レコード芸術」の編集を経て独立。オペラ、バレエから現代音楽やクロスオーバ...

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