
バイエルン放送響、ミュンヘン・フィルのシーズン締めくくりにラトルやポペルカの名演

海外のクラシック界のニュースやコンサート、オペラ公演の様子を、現地在住の筆者がいちはやくお届け。今回は6月のドイツの音楽シーンから、ミュンヘンで行われたオペラとコンサートのもようをお届けします。
ラトル&バイエルン放送響のユーモアあふれるハイドン
バイエルン放送交響楽団のシーズン終わりに、サイモン・ラトル指揮のコンサートを聴いた(ミュンヘン・ヘラクレスザール)。
まず6月19日はエルガー《ゲロンティウスの夢》(アリス・コートMs、ニッキー・スペンスT、レスター・リンチBr、バイエルン放送合唱団)。歌と管弦楽の丁寧な協同が見事だ。
7月2日の特別コンサートでは、ラトルのお気に入りであるイモージェン・クーパーをソリストに迎えたモーツァルト「ピアノ協奏曲第27番」が心に沁みる。この日の最後はハイドン「交響曲第90番」。ラトルのハイドンはとてもおもしろく、ハイドンの楽曲構造とユーモアのセンスが、ラトルの構築力や茶目っけと唱和する。「第90番」では最後に4小節にわたるゲネラルパウゼがあり、終わったと思った聴衆から、ほとんどといってよいほど拍手が起きる。このときラトルは手を上げたままで、その姿がなんともチャーミングだった。
バイエルン州立歌劇場の次期音楽総監督に決定したポペルカに盛大な拍手
ミュンヘン・フィルハーモニー管弦楽団のシーズン終わりは、興味深い指揮者陣とプログラムだった(ミュンヘン・イザールフィルハーモニー)。
まず6月14日はヤクブ・フルシャ指揮でマーラー「交響曲第5番」の「アダージェット」、R.シュトラウス《4つの最後の歌》(コリンヌ・ウィンタースS)、ルティヌー《戦場のミサ》(イルジ・ブリュックラーBr)、ボロディン《イーゴリ公》から〈だったん人の踊り〉(合唱はミュンヘン・フィルハーモニー合唱団)。内面的な作品と楽しく盛り上がる作品を巧みにとりあげ、キレのよい音楽づくりだ。
6月24日の指揮はバーバラ・ハンニガン、彼女は一流の歌手でもある。オッフェンバック《パリの喜び》ではオッカ・フォン・デア・ダメラウとデュエットを歌い、ワイル《ユーカリ》では自身だけではなくオーケストラにも歌わせ、《ロスト・イン・ザ・スターズ》でも歌い、聴衆を魅了した。

7月3日はペトル・ポペルカを迎え、ドヴォルジャーク「ヴァイオリン協奏曲」(イサベル・ファウストvn)、ヘンツェ《夢の中のセバスティアン》、ストラヴィンスキー《火の鳥》というプログラムだった。なによりファウストのドヴォルジャークが光る。バイエルン州立歌劇場の次期音楽総監督に決定したポペルカを、聴衆は大拍手で讃えた。
ミュンヘン・ゲルトナープラッツ劇場の二つの新制作~《椿姫》と《ルクセンブルク伯爵》
ミュンヘン・ゲルトナープラッツ劇場の二つの新制作を観た。
まずヴェルディ《椿姫》は、同劇場としては25年ぶりの新制作。演出は19世紀と現代が混在している。最後の場面では、アルフレートも結核に罹患しており、喀血する。死は誰にも訪れる普遍の真理で、「メメント・モリ」(ラテン語の成句で「死を想え」、「自分がいつか必ず死ぬことを忘れるな」という意味)が強調されている(初日:5月22日、所見日:6月11日、指揮:アンネ・ヒンリヒゼン、演出:イザベル・オスターマン、美術:シュテファン・フォン・ヴェーデル、衣裳:アルフレート・マイヤーホーファー。ヴィオレッタ役ジェニファー・オロフリン、アルフレート役ルシアン・クラシェネク、ジェルモン役マティアス・ハウスマン)。
レハール《ルクセンブルク伯爵》は、同劇場で73年ぶりの新制作。演出のペーター・ルントはミュージカルの台本も手掛けており、今回もオリジナルに手を加えた。
舞台は20世紀初頭のパリ。回転舞台を利用し、汽車のコンパートメント、パリの街、屋根裏部屋など変化に富み、衣裳はアール・ヌーヴォーをメインにたいへん美しい。ダンスも効果的だ。
レネ役ダニエル・プロハスカ、アンジェレ役アンドレヤ・ジダリク、バジル・バシロヴィッチュ公役エルヴィン・ヴィンデッガーも演技、歌唱ともに小気味良い(初日:3月27日、初見日:6月20日、指揮:ミヒャエル・ブラントシュテッター、演出:ペーター・ルント、美術:ユルゲン・フランツ・キルナー、他)。





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