インタビュー
2022.11.27

圧巻パフォーマンスの源  第2回 ユウトさん(PENTAGON)<後編>

歌、ダンス、演奏……超人的な圧巻のパフォーマンスで我々を魅了してくれるステージ上のアーティストたち。類い稀な才能のみならず、そこには確かな技術の裏打ちと並々ならぬ努力がある。そんな海外アーティストにフォーカスし、彼らのパフォーマンスの源を探っていく連載がスタート!

第1回のゲストは前回に引き続き、韓国の男性グループ「PENTAGON(ペンタゴン)」のユウトさん。高校1年のときに単身で渡韓、語学の壁にぶつかりながらも日々レッスンに励み、練習生を経て、2016年にデビューを果たす。今回は、その練習生時代から現在、そして将来のことについて話を伺った。

鈴木啓子
鈴木啓子 編集者・ライター

大学卒業後、教育系出版社に入社。その後、転職情報誌、女性誌、航空専門誌、クラシック・バレエ専門誌などの編集者を経て、フリーに。現在は、音楽之友社にて「ONTOMO M...

撮影/蓮見 徹
ヘアメイク/KAMADA JUNKO 

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1998年1月23日生まれ、長野県出身。本名・安達祐人(あだち・ゆうと)。日・中・韓の多国籍メンバーで結成された韓国の男性グループ「PENTAGON」のメンバー。ラップ担当。2016年にデビュー。2020年にリリースした10thミニアルバム「WE:TH」のタイトル曲「Daisy」がSBS MTV「THE SHOW」で1位に。2022年2月には、「Feelin’ Like」が地上波の音楽番組(KBS2「ミュージックバンク」)で初めて1位を獲得した。
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1日の大半をダンスに費やした練習生時代

——前回のお話で、語学が通じない中で1日10時間のレッスンをこなしていたと伺いました。とてもハードですね。

そうですね。基本的には夜の10時までレッスンをしていました。海外組は韓国語のレッスンを受けて、ほかにもストレッチ1時間、ヴォーカルレッスン2時間、あとはすべてダンスのレッスンなんですよ。もう本当にずっとダンスで(笑)。

——ダンスレッスンはどのような内容を?

ヒップホップ系の基本的な動きをするダンスレッスンが1時間と、CUBE*の場合は1週間に1回評価の場があるので、その評価の場で披露するためのダンスレッスンがあります。これも基本1時間なんですけど、1日の残りの時間はすべてその評価に向けての自主練習に費やしていました。とにかく練習生時代は、ずっと踊って、歌って、勉強して……を日々くり返す生活でした。

*CUBE:PENTAGONが所属する韓国大手事務所

——クラシック・バレエを取り入れている事務所があると聞いたことがあるのですが、CUBEでは取り入れているのでしょうか。

以前はバレエのレッスンが行なわれていて、バーを使って脚を上げて可動域を広げるための柔軟をしたり、股関節から脚を外側に回す動き(アン・ドゥオール)をしたりしていました。

そういえば、一度韓国の現代舞踊を習ってみたんですけど、かなり難しかったです。腕の伸ばし方とか、角度とかがなかなかうまくできなくて……。僕は体が硬いので、ちょっと現代舞踊は大変でしたね。

——スタイルと佇まいから、バレエや現代舞踊がすごく似合いそうです。

えっ……じゃあ、もう1回チャレンジしてみます(笑)。現代舞踊を踊れたらかっこいいですよね。

作曲を始めて丸3年。 いつかEDMにも挑戦したい

——CUBEは、BTOBさん、CLCさん、(G)I-DLEさんなど、個性豊かなアーティストが揃っていますよね。作詞作曲される方やミュージカルに出演される方、俳優・女優など、多方面で活躍される方が多いイメージがあります。

CUBEは一人ひとりの個性を見抜いて、その個性を前面に押し出してくれるので、ミュージカルをやりたい人はミュージカルをやったり、作曲に専念したい人は作曲部屋を用意してくれたりします。僕もひと部屋用意していただいて、1日中作曲しているときもあり、結構自由にやらせていただいています。

——ひと部屋用意してくれるとは、すごいですね! PENTAGONはメンバーが作詞作曲できるというところが魅力のひとつであり、強みだと思うのですが、作品はどのような経緯で作られるのですか?

例えば、ミニアルバムを出すことが決まったら、その段階で何曲収録するのかということを会社側が僕たちに伝えてくれます。仮に8曲収録されるとして、作りたい人が各々曲を作って持ち寄り、100曲ぐらい集まったとします。そこからメンバー同士で投票していくんです。その後、上位に上がった曲の中から、会社とメンバーでアルバムのタイトルやストーリーに合うような曲をセレクトしていきます。

——みなさん、曲を作ってくるのですか?

だいたい作ってきますね。

——その中にはユウトさんも入っていらっしゃる?

ユウトさんも入っております(笑)。

――いつから作詞作曲を始めたのですか。

まず、練習生のときにラッパーというポジションについたんですけど、そのときのラップの先生から「ラッパーは歌詞を書けないといけないよ」と言われて、韓国語でラップの歌詞を書く勉強を始めました。

デビュー後は、メンバーが作った曲や外部の方から提供していただいた曲で、「この8小節、ラップを書いてください」ということを言われる機会が増え、そこから段階を踏んでいって、今は自分でビートを書いて、そこに歌詞をつけています。

21歳のときに作曲を始めたので、今3年目になります。コードの勉強だったり、ギターのペンタトニックスケールだったりから始めて、音楽を学ばれてきた方の前で言うのは恥ずかしいんですけど(笑)、今はピアノやMIDIキーボードで一応作曲をしています。

作曲といっても、アルバムのための曲を書いているわけではなくて、レッスンの課題曲をやっているだけなんですけどね。僕はハウスミュージックが好きなので、Ableton(エイブルトン)を使うハウス専門の先生にレッスンを受けていまして、まだまだ勉強中です!

——メンバーとは曲作りのことで日々アドバイスし合ったりしますか?

しますね。特にリーダーのフイさんからアドバイスをいただくことが多かったですね。音楽制作ソフトが「Ableton Live」という、ちょっとマニアックなのを使っていまして、唯一一緒のソフトを使っているのがフイさんなので。

——先日のコンサートでやってらっしゃった、ユウトさんの代わりにシンウォンさんが出て、キノさん、ウソクさんと3人で歌われた「Cerberus」も素敵な曲ですね。

ありがとうございます。あの曲は末っ子3人で書きました。ソロのステージでは、本当は自分で書いた曲をやるつもりだったんですけど、今回お披露目できずに終わってしまったので、次こそ披露したいですね。

PENTAGON「Cerberus」

——実際に曲を作ってみてどうですか? 

楽しいです! ひとりで部屋にこもって、自分の世界を作っている感じがして。すごく楽しい。わかります?(笑)(趣味が作曲というスタッフが深く頷く)

自分の好きな音をはめて、好きなように音楽を作ることがとにかく楽しくて。いずれはEDM(エレクトロニック・ダンス・ミュージック)を書けたらいいですね。アラン・ウォーカー(Alan Walker)さんや、今は亡くなられてしまいましたけどアヴィーチー(Avicii)さん、あとスティーブ・アオキさんとか、クラブに行ったことがないのでわからないんですけど、すごく盛り上げられるような音楽がかっこいいと思い始めていまして、とても憧れます。

——PENTAGONもコンサートで盛り上がる曲が多いイメージがあります。

そうですね。盛り上がる曲は多いんですけど、恋愛の曲が多くて、自分は……ちょっとイケイケ系な曲が好きなので(笑)、EDMも勉強していきたいと思います。自分たちの曲の中では、特に「Basquiat(バスキア)」が気に入っています。フイさんが作った曲なんですけど、すごくかっこいい。MVもかっこよくて、完成度高く仕上がった1曲なので、“かっこいいPENTAGON”を見たい方はぜひ聴いていただけると嬉しいです!

PENTAGON「Basquiat」

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