プレイリスト
2020.02.17
おやすみベートーヴェン 第64夜【天才ピアニスト時代】

「ロンド・ア・カプリッチョ」――正式名称は不明? 通称《失くした小銭への怒り》

生誕250年にあたる2020年、ベートーヴェン研究の第一人者である平野昭さん監修のもと、1日1曲ベートーヴェン作品を作曲年順に紹介する日めくり企画!
仕事終わりや寝る前のひと時に、楽聖ベートーヴェンの成長・進化を感じましょう。

1792年、22歳のベートーヴェンは故郷ボンを離れ、音楽の中心地ウィーンに進出します。【天才ピアニスト時代】では、ピアニストとして活躍したウィーン初期に作曲された作品を紹介します。

ONTOMO編集部
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東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...

監修:平野昭
イラスト:本間ちひろ

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正式名称は不明? 通称《失くした小銭への怒り》「ロンド・ア・カプリッチョ」

ベートーヴェンが自筆に残した書き込みは《アラ・インガレーセ(ハンガリー風)・クアジ・ウン・カプリッチョ(奇想曲のような)》だけだが、意味は明確でない。

1795年に作曲されたが、出版は死後の1828年。通称には、さらに副題として《失くした小銭への怒り》なども知られているが、ベートーヴェンの言葉ではない。

この(出版用の)曲名は「奇想曲のようなロンド」ということになるが、ロンド形式とも言い切れない。

ト長調の4分の2拍子で始まり、ホ短調のエピソード風の楽段があり再び冒頭のロンド主題がもどるが、続けてト短調の展開。またト長調のロンド主題が戻るが、次はホ短調のエピソードになり、そのあとはまったく異質なホ長調の楽段。そしてまた、ト長調のロンド主題……。このあとも、延々と気ままな転調による展開が終止まで続く。

解説: 平野昭

変わったタイトルで知られる小品ですが、結局ベートーヴェンが意図した正式な曲名はなんだったのでしょうか? さまざまな調性を駆け抜ける怒涛の展開。確かに怒ってるようにも聴こえなくはない……?

作品紹介

ロンド・ア・カプリッチョ op.129

作曲年代:1795年(ベートーヴェン25歳)

出版:1828年

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