2022.11.30
ただいまショパン第39回
スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39――献呈を唯一受けた男性の弟子グートマン
ショパンの作品を全曲聴いてみよう! ショパン自身がつけた作品番号順に聴くことで、ショパンの“設計図”が見えてきます。
ONTOMO編集部
東京・神楽坂にある音楽之友社を拠点に、Webマガジン「ONTOMO」の企画・取材・編集をしています。「音楽っていいなぁ、を毎日に。」を掲げ、やさしく・ふかく・おもしろ...
スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
1839年にマヨルカ島で作曲された3番目のスケルツォは、弟子であったアドルフ・グートマン(1819〜1882)に献呈されました。
数多くの弟子を持ったショパンでしたが、男性の弟子に作品を献呈したのはこの一曲だけです。
ドイツ出身のグートマンはショパンより9歳年下で、師の写譜者として貢献した。演奏はいくぶん乱暴だと批評されることもあったようだが、ショパンはその演奏を気に入っていた。こういった事情を知ると、この曲はグートマンの様子も彷彿させる。
——小坂裕子著 作曲家◎人と作品シリーズ『ショパン』(音楽之友社)207ページより
ショパンとグートマンの関係は、ショパンが亡くなる瞬間まで続きました。グートマンの手紙によれば、死の床のショパンはグートマンに抱きかかえられ、頬に別れのキスをして、「ああ君」と言うと息たえたといいます。
ピアニスト、作曲家として活躍したグートマン。作品リストにはショパンに献呈された「練習曲集」、数々の「夜想曲」、「舟歌」、「華麗なるワルツ」など、ショパンを彷彿とさせる曲が並びます。
ショパンがお気に入りだった彼の「いくぶん乱暴な」演奏を想像するのも楽しいですね。
左:アドルフ・グートマン(1879年頃)
上:グートマンが清書した「スケルツォ第3番」の楽譜冒頭部分
上:グートマンが清書した「スケルツォ第3番」の楽譜冒頭部分
作品紹介
スケルツォ第3番 嬰ハ短調 Op.39
作曲年代:1838-39(ショパン28-29歳)
出版:1840年
献呈:Adolf Gutmann
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